京都議定書30
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
京都議定書
‐京都議定書の概要‐
1997年12月11日に京都国際会議場で行われた国連気候変動枠組み条約第三回締約国会議(COP3)において採択された合意事項である。この議定書は、1980年代後半に議論が高まった気候変動という地球的規模の問題への解決策の切り札とされ、それまでの国際交渉では前例をみない特色を備えている。また京都議定書策定の際、各国により削減コストが大幅に異なることが議論となり、これに対する公平性を確保する措置として「京都メカニズム」という柔軟性措置が取られることとなった。京都メカニズムとは、排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズムの3つの制度を指す。 国ごとに温室効果ガス排出量の削減目標を定め、EUは8%、アメリカ合衆国は7%、日本は6%の削減を約束。一方で、途上国には削減義務は求めなかった。
‐京都メカニズム‐
・排出権取引
排出権取引とは、京都議定書により、温室効果ガス排出許可量(排出権)を割り当てられた先進国間において、その排出権の取引を許す制度である。排出権取引および他の柔軟性措置の利用に制限を設ける議論がEUを中心として台頭し、数量制限を設けるべきではないとする日本・米国などと対立することとなった。しかし、米国の離脱宣言を契機に、EUが柔軟姿勢に転換し、COP7マラケシュ会議において、排出権購入量については上限を設けないこととした。
・共同実施
共同実施とは、複数の先進国が共同して温室効果ガス削減のプロジェクトを行った場合、そのプロジェクトに伴う削減量を両国間で享受できる制度である。元来発展途上国を含み、技術・資金移転による南北格差の縮小と環境改善を同時に行う国際的な枠組みの1つとして検討されてきたが、京都議定書では発展途上国を含まないこととし、先進国間のみでの共同実施が認められた。
・クリーン開発メカニズム
クリーン開発メカニズムとは、京都会議において初めて提案され合意された制度である。共同実施が先進国間のみのプロジェクトであると規定されたのに対し、クリーン開発メカニズムは、先進国と途上国の間で温室効果ガス削減のプロジェクトを行った場合、一定の認証手続きを経て削減量を両国間で享受できるとしている。このためクリーン開発メカニズムは、先進国から発展途上国への技術・資金移転による南北格差の縮小と環境改善を同時に行う国際的な枠組みの1つとして期待されている。
参考文献
松橋隆治(2002)『京都議定書と地球の再生』日本放送出版協会
京都議定書http://www.wwf.or.jp/activities/climate/cat1259/cat1279/