男女格差
出典: Jinkawiki
日本は世界有数の男女格差(ジェンダー・ギャップ)(*)の大きい国である。世界経済フォーラムが毎年発表している男女平等ランキングでは、ここ何年も100位以下と低迷、先進諸国の中では後塵を拝している。さらに、2016年は144カ国中111位と前年(145カ国中101位)より10位も下げてしまった。
- ・・・世界経済フォーラムは、毎年、各国内の男女間の格差をジェンダー・ギャップ指数(GGI:Gender Gap Index)として数値化し、順位付けしている。経済、教育、保健、政治の4つの分野における各データをもとに算出するが、日本で男女格差が大きいのは経済分野と政治分野で、近年大きな改善は見られていない。
<経済分野> ・労働力率(算出データ)・・・79位(144カ国中の日本の順位) ・同じ仕事の賃金の同等性・・・58位 ・所得の推計値・・・・・・・・100位 ・管理職比率・・・・・・・・・113位 ・専門職比率・・・・・・・・・101位 計118位
<教育分野> ・識字率・・・・・・・・1位 ・初等教育の在学率・・・1位 ・中等教育の在学率・・・1位 ・高等教育の在学率・・・103位 計76位
<保健分野> ・新生児の男女比率・・・95位 ・健康寿命・・・・・・・1位 計40位
<政治分野> ・国会議員比率・・・・・・・・・・122位 ・閣僚の比率・・・・・・・・・・・50位 ・最近50年の国家元首の在任年数・・68位 計103位
総合計111位(2016年順位)
現代の性差別
差別の形態は時代とともに変化している。かつての性差別は「女はだめだ、能力が低い」、「女のくせに男の領域に入ってくるな」といったあからさまなもので、「敵意的性差別」と言われるものであった。これだと、反論しやすいのだが、現代の性差別はある意味もっと巧妙になっていて「好意的性差別」と言われる。例えば、「男女は平等だが異なっていて、女性には男性にない素晴らしい特性がある」、「男女がそれぞれの特性を活かして協力し合おう」といった主張である。これだと差別かどうかがわかりにくく、反論する気持ちも起こりにくくなる。だが、好意的性差別も敵意的性差別も根本的には同じで、好意的性差別の意識を強く持っている人は敵意的性差別意識も強いことや、好意的性差別が女性に悪影響を及ぼすことが研究の結果明らかになっている。
格差をなくすために
社会は変わりにくく、ジェンダー格差や性差別もなかなかなくならない原因に、私たちの心のしくみの影響が大きいことが分かった。では、どうすればいいのか、残念ながら差別や偏見をなくすための効果的な解決方法は正直なところいまだ見つかっていない。だが、まずは心のしくみを知ることが出発点である。そうして、自分の中に差別や偏見を生み出す心のしくみが働いていないか認識し、これらの問題をどうにかしたいと思い続けることから始めてみてはどうだろうか。一人一人が意識することから多くの人の意識改革に伝わり、日本の、世界の、男女間の格差がなくなっていくことを祈る。
SN