仮説実験授業
出典: Jinkawiki
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仮説実験授業は1963年板倉聖宣が「科学史研究」「科学認識論研究」の成果をもとにして発表した授業理論。
目次 |
仮説実験授業とは
科学上の最も基本的・一般的な概念・法則を教えて、科学とはどのようなものかということを体験させることを目的とした授業理論。この授業法の理論的基礎はおもに次の2つの命題に置かれている。 1、科学的認識は対象に対して目的意識的に問いかける実践(実験)によってのみ成立し、未知の現象を正しく予言しうるような知識体系の増大確保を意図するものである。 2、科学とは、すべての人が納得せざるをえないような知識体系のを増大確保を図る1つの社会的虚構であって、各人がいちいちその正しさを吟味することなしにでも安心して利用しうるような知識を提供するものである。
授業書
仮説実験授業では「授業書」と称する一種の指導案、教科書、ノート兼用の印刷物を中心にして展開される。 授業書は、授業(教師と生徒集団)そのものに課題を与えて、その授業の進行について具体的な指示を与え、「授業書」の指定通りに授業を展開することを要求するもの。一般の教科書とは形式・機能の上で著しい違いがあるため、授業書という名称が与えられた。
今日の教科書と授業書の違い
今日の教科書:効果的な授業を行おうとすれば、教師は教科書とは別な独自の指導案を立てて、その中で教科書をどのように利用していくかということを研究しなければならない。
授業書:授業書の指定通りに授業を進めていきさえすれば、誰でも確実な成果を得られるように配慮されているのが前提。
授業運営法
仮説実験授業の授業書は、「問題」を中心に構成され、「質問」「研究問題」「練習問題」「原理・法則(の説明)」「新しい科学の言葉」「読み物」などの構成要素からなっている。
基礎となっている考え方
1、科学というものはすべての人々に安心して受け入れられるような、対象についての法則的・理論的な認識を目指すものである。
2、そのような科学的認識は、対象についての予想や仮説を立てて、その真否を目的意識的に問いかける実験(や観察)を行うことで初めて成立する。
(参考;板倉聖宣『科学と仮説』(季節社))