アファーマティブ・アクション10

出典: Jinkawiki

2018年7月23日 (月) 12:22 の版; 最新版を表示
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概要

 アメリカにおいて一般的に、合衆国連邦政府のイニシアティヴにより1960年代末に開始された、人種平等の社会を構築するための取り組み。日本語では、「積極的差別是正策」と翻訳されている。1960年代以後のアメリカ社会で、人種間の経済的・社会的格差の解消のために導入された。可視化された黒人の経済的・社会的窮状を改善することが、大義名分である。しかし近年、その具体的な実施、政策の策定の過程を通し、経済の変動、時の政権の思惑などに直面し、変貌しつつある。今日では、その適用対象を人種的マイノリティから、女性、身体に障害を持つ人々にまで拡大し、しかもその目的を経済的・社会的不平等の是正というよりは、むしろ社会的な多様性の保持に移している。


日本におけるアファーマティブ・アクション

 日本は、雇用における男女格差が問題となっており、女性の雇用においてアファーマティブ・アクションが取られている。2002年の厚生労働省の発表では、この女性に対してのアファーマティブ・アクションは、単に女性だから優遇するのではなく、慣習的に企業で行われてきた女性と男性の性別による役割分担の意識がまだ残っており、女性が男性よりも社会で能力を発揮しづらい環境にあるため、その環境や意識を変えるために行われているとしている。政府は、男女共同参画社会基本法に基づき、男女共同参画基本計画を第4次(2015年12月閣議決定)まで策定しており、その中で「2020年までに女性が指導的地位に占める割合を30%程度とする」ことを目指し、各分野で積極的改善措置(アファーマティブ・アクション)に自主的に取り組むよう奨励している。その取り組み例としては、大学入試における女子特別枠入試や、採用における女性優遇採用があげられる。男女雇用機会均等法では、性別を理由とした差別的な取り扱いを禁止としているが、第8条で男女均等な機会や待遇の確保の支障がある場合、その改善のために女性を優遇することを妨げるものではないともしている。


参考文献 ・安井倫子 『語られなかったアメリカ市民権運動史』(2016) 大阪大学出版会

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