韓国の学校制度
出典: Jinkawiki
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1.学校の風景 韓国の新学期は3月1日にはじまる。しかしこの日は国の祝日となっているので、実際の授業はその翌日からスタートとなる。初等学校の子どもたちの服装はカラフルで自由な雰囲気で過ごしている。中学校の生徒たちも、かつてのような一律の制服は見られなくなり、教室の雰囲気は和らいできた。韓国では、初等学校(6年)と中学校(3年)の計9年間が義務教育となっており、初等学校への入学は満6歳からである。初等学校の教室は5~6人が1組になってグループ学習ができるような机の配置をしている。 韓国は、親も社会も教育に対する関心が異常なくらい強く、「学校信仰」はいまも健在である。2004年時点の大学進学率が世界最高の81.3%を記録したことは、その根拠といえる。そのことが逆に初等学校入学時から勉強へのプレッシャーを子どもたちにかけ続けることになるとも言われている。一発勝負の大学入試に合格するには、初等学校の頃から塾に通ったり、家庭教師についたり、さまざまな入試準備が必要となる。 学校のもう一方の主役である教師についてみると、韓国の学校ではこのところ女性教師の比率が年々高まっている。教師の社会的な地位は、このところ大きく揺らいでいるといわれるが、韓国社会には儒教文化の伝統がいまなお色濃く残っており、子どもにとって教師の権威はいまなお健在である。したがって初等学校の子どもが教師に暴力を振るうというような行為は、韓国ではまず考えられない。
2.学校の特色 基幹学生は6-3-3制であるが、最新の第7次教育課程は、学校段階別の教育課程を廃止し、初等・中等学校段階を10年間の「国民共通基本教育課程」と「選択中心教育課程」の二部構成からなる教育課程に再編成した。これは9年間の義務教育に高等学校の第1学年を加えた10年間を「国民共通」の基本教育課程にすることにより、国民教育のレベルアップを図ることを狙いとしている。この教育課程のもう一つの特色は、学校独自の立場からカリキュラム編成ができる「裁量活動」および「特別活動」の時間数が、第6次教育課程に比べ増えている。 学校運営の面でも韓国の学校には、大きな変化が生まれつつある。英米の学校運営をモデルに、公立学校に父母や地域有識者を加えた学校運営委員会制度が導入されることになった。現在では全国の国公私立すべての初等・中等学校に学校運営委員会を設置することが義務付けられている。
3.学校改革の動向 近年における学校教育改革のきっかけを作ったのは、1990年代の地方分権政策である。1991年に制定された「地方教育自治法」により、地方教育庁におかれる教育委員会の委員および教育監の選出方法が任命制から投票方式に改められ、地方自治の原則が地方教育行政の基本となった。