アラブの春7
出典: Jinkawiki
アラブの春
2010年12月17日,チュニジアの青年が,焼身自殺を図った事件の直後から各地で起きた大規模デモを衛星放送などが伝えると,全国規模で政権打倒の民主化デモが拡大。そして1か月も経たない2011年1月14日にベン・アリ大統領は国外逃亡を余儀なくされ,23年間続いた独裁政権が実にあっけなく崩壊した。チュニジアでは同年10月,制憲国民議会選挙が実施(投票率52%)され,イスラム主義政党エンナハダが第一党となった。また同年12月に大統領と首相が選出され,民主化への移行を施政方針とする新政権がスタートしている。その後、人々の民主化要求運動は大きなうねりとなり、リビアのカダフィ政権、エジプトのムバラク政権といった30~40年も続いた長期独裁政権を次々に倒した。それまで極めて限定的にしか政治参加できなかった一般の民衆が変革の原動力となった点がこの政治変動の大きな特色で、経済的格差や独裁政権による統制、政治参加の制限等に対する民衆の不満の高まりがその背景にある。反政府運動に参加した民衆はツイッターやフェイスブックなどのSNSや衛星放送等のメディアによって連携と情報共有を図っており、かつてないスピードで国境を越えて民主化運動が拡大していった。
発端
北アフリカにあるチュニジアで、生活のために野菜果物を路上で売っていた若者が「許可なく店を出すな」と警察官にすべてを没収される。返すように市の当局へ訴えたところ、まったく相手にしてもらえず、絶望した末の焼身自殺だった。若者はイスラム教徒であった。イスラム教徒にとって焼身自殺は深い意味がある。体がなくなってしまうと、死後、この世の終わりが来たときに復活することが出来なくなってしまうからである。人々には、この若者の焼身自殺は天国へ行くことを諦めた「決意の抗議」と映った。この衝撃的な出来事が人々の心を動かした。
参考文献・参考資料
池上彰「池上彰が読む『イスラム』世界」(株式会社KADOKAWA、2014年)
外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol87/
(最終検索日;2019年1月14日)