環境問題29
出典: Jinkawiki
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環境問題について
産業革命以降、石炭、石油などの化石資源や様々な金属資源などの再生不可能資源を利用する工業生産が拡大するなかで、鉱山や工場などから有害物質が環境中に放出され、各地で公害問題が発生した。さらに、近年、大量生産・大量消費・大量廃棄の生産活動が拡大することによって、有限な地球自然の物質・エネルギー・生態系のバランス破壊による地球環境問題が顕在化した。 最近では、ダイオキシンや環境ホルモン汚染のように、廃棄物処理や身近な人間生活と密接に関係し、微量で重大な影響をもたらす新たな化学汚染の存在も認識されている。 環境破壊は、豊かな自然を根底から破壊し、私たち人類や無数の生物の生存を危機に追いやろうとする。これらの環境問題を解決することなしに、今後も人類が発展し続けることは不可能である。
主な環境問題の種類
地球温暖化・オゾン層破壊・大気汚染と土壌・淡水系の酸素化・生物多様性の減少・ごみ問題・ダイオキシン汚染・重金属類による環境汚染 など
地球温暖化
環境問題の中で一番広く知られている、地球温暖化。この温暖化に伴い、各地で異常気象が頻発し、その影響も現れている。また、小さな島国では海面上昇による海岸線の後退が始まっている。100年あまりの間に地球の平均気温は約0.6℃上昇し、高温の年が続き、今後も上昇速度はさらに大きくなる可能性がある。 この原因は、大気中の二酸化炭素の増加である。大気中に太陽光を遮るエアロゾルが増加すると気温は低下する。一方、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、フロン類など、いわゆる温室効果ガスが増加すると気温は上昇する。産業革命以降、人間生活によって放出されてきた温室効果ガスの大気中の濃度が増加した結果、気温が上昇しているのである。 温暖化を止める条件として、現在、世界中から排出される二酸化炭素量は年間200億トン以上にもなる。放出された二酸化炭素のうち大気中に残存するのは約60%程度である。そのうち約40%は海洋や森林等に吸収されていると考えられる。したがって、大気中の二酸化炭素濃度を増加させないためには、現在の排出量の約60%を削減しなければならない。つまり、温暖化の進行を止めるには、化石燃料の消費量を世界全体で約6割程度減らす必要がある。
環境問題解決への課題
オゾン層保護のための「モントリオール議定書」や、気候変動に関する対策として「気候変動枠組み条約」、生物の多様性の保全とその持続的利用、生物の遺伝子資源から得られる利益の公正・公平な分配などを目的とした「生物多様性条約」、有害廃棄物の国際取引を行う際の条件を規定した「有害廃棄物の国境を超える移動及びその処理の規制に関するバーゼル条約」などがある。
私たちにできること
自分には関係ないと思わず、身近なところから環境問題について理解することが大切である。例えば、電気を使わないときにはこまめに消す、紙を使う際に裏紙も利用する、レジ袋や割りばしではなく、マイバックや箸を利用するなど、些細な事から取り組むことが、環境問題を減らす一歩になる。
参考文献 和田武(2002)『環境問題を学ぶ人のために』世界思想社