打楽器
出典: Jinkawiki
打楽器とは、「打つ」、「擦る」、「振る」などの方法で音を出す楽器の総称で、各民族によって様々な楽器がある。ただし弦楽器や管楽器、鍵盤楽器に含まれる楽器は通常は打楽器から除外される。弦楽器や管楽器と比較し、原始的であることから長い歴史を持つと考えられている。楽器分類学では体鳴楽器と膜鳴楽器に分けられる。
歴史
- 人類が誕生してから最初に作り出された音楽用の道具は打楽器とされていたが、近年の発掘調査により、動物の骨で作られた筒状の楽器が発見され、形状からフルートであるとされる。
- 「世界最古の打楽器」と⾔われるのはフレームドラムである。これはタンバリンの祖先であり、シンプルながら表現力は非常に高く、サウンドも多種多様であるが、日本ではそれほど普及はしていない。現在は、ドイツのカホンを中心としたパーカッションメーカーである「Schlagwerk(シュラグヴェルク) 」により、製造・販売されている。
特徴
- 打楽器には明確な音高を持つものと持たないものとがある。後者はリズムで奏でるが、前者はリズムだけではなく、単音の演奏により旋律を奏でたり、和音の演奏による和声も奏でたりする。
- 打楽器は合奏の「背骨」や「心拍」と形容され、低音楽器と緊密に連携して機能する。ジャズやその他のポピュラー音楽では、ベーシストとドラマーはリズム隊と呼ばれる。ハイドンやモーツァルトの時代以降に作曲されたフルオーケストラのためのクラシック作品の大半は、擦弦楽器・木管楽器・金管楽器に重点を置くように作られている。しかしながら、少なくとも1対のティンパニは含められていることが多い。継続的に演奏することは稀で、どちらかと言えば必要に応じて付加的なアクセントを添える役割を担う。18・19世紀には、他の小物楽器(トライアングルやシンバル)も使われたが、ここでも全体としては控え目にであった。20世紀のクラシック音楽では打楽器は、より頻繁に使用されるようになった。
- ありとあらゆる形の音楽で、打楽器は枢要な機能を演じている。軍隊のマーチングバンドやパイプバンドでは、バスドラムのビートが兵士を行軍させ続け一定の速度を保たせ、スネアドラムが楽隊のメロディにあのキビキビとした決然たる空気を与えている。古典的なジャズでは、「スイング」という言葉を聞けば、誰もがすぐにハイハットやライドシンバルの独特のリズムを思い浮かべる。打楽器は多種多様なので、打楽器のみで構成される大きな楽団も存在する。こうした音楽グループではリズム、メロディ、ハーモニーはいずれも鮮明で活き活きとしたものであり、その生演奏は実に壮観である。
楽器
- アゴゴ Agogo
- 大小2つのベルをつなげた楽器。ブラジル音楽のサンバなどによく使われる楽器であるが、ラテン系の音楽や吹奏楽の中でも多用されれている。倍音を含んだ甲高い音が特徴でアンサンブルの中でもよく目立つ。
- アピート Apito
- ブラジル音楽のサンバに使われる木製のサンバホイッスル。プラスチック製や金属製のサンバホイッスルに比べると音量が小さいため、楽曲の中で使われることも少ない。
- アンクルン Angklung
- ガムラン音楽などに使われている竹でできた楽器。たくさんの竹筒をひもに並べて吊るしているものを一人で演奏してメロディーを奏でたり、2本の竹筒を吊るしたアンクルンを一人1個、または2個ずつ持って大勢で合奏することもある。
- ウインドチャイム(ツリーチャイム) Wind Chime (Tree Chime)
- 長さの異なる金属の棒を吊り下げて並べたもので効果音的な役割を持った楽器。あらゆるシーンで多用されバラードやアコースティックの曲などでは抜群の効果をもたらす。最近、人気があるカホンのオプション楽器として使われている。
- ウッドブロック Wood Block
- その名の通り、木の塊。仕組みは木魚と同じで木の大きさ、素材によって音色も多種多様である。クラシック音楽や打楽器アンサンブルの中でもよく使われ、この楽器を使った有名な曲にルロイ・アンダーソンのシンコペーテドクロックがある。
- ウドゥドラム Udu Drum
- ナイジェリアのイボ族の宗教儀式で使われていた陶器型の楽器。「ウドゥ」とは素焼きという意味で、陶器の側面に穴があいている。穴のあいた部分を手のひらで押さえ込むようにして叩くと「ドゥーン」といった深みのある独特の低音が鳴るのが特徴的なエスニック的な要素たっぷりの打楽器。
- エナジーチャイム Energy Chime
- 金属の棒。グロッケンやトライアングルと同様、金属製の楽器であるが、この楽器は音に真があり、長続きするのが特徴である。とても純粋で心地良い音色なのでヒーリング系のアイテムとしても用いられることもある。
- オーシャンドラム Ocean Drum
- 波の音を再現する擬音楽器。小さいアルミボールや小豆を貼り合わせた大きさの同じ2枚のヘッド(スネアヘッド、バスドラなど)の中にいれるだけで簡単に作ることもできる。ヘッドの大きさに比例して波の音も大きくなる。
- カウベル Cow Bell
- その名の通り、牛に付ける鐘のこと。楽器用に改良され、ラテン音楽の代表的な楽器の1つになっている。手に持って響きを調整しながらバチで叩いたり、ティンバレスやドラムのセットに組み込んで演奏されたりと幅広く使われている。
- カシシ Caxixi
- 細い木の枝で編んだ籠の中に乾燥させた種子などを入れた楽器。シェイカーのように振ることで音を出し、籠の底の素材によって音色も異なる。岐阜県にカシシを専門に製作する「エスペランサ」というカシシ工房があるが、音に対するこだわりを感じられる上、カシシの色使いがとても素敵なお店である。
- カスタネット Castanet
- 名称は栗の実を意味するスペイン語「カスターニャ」に由来する。タンバリンやトライアングルなどの小物打楽器と同様、カスタネットも教育楽器として広く用いられる。カスタネットの種類としては、小学校などの教育現場でおなじみの赤青カスタネット(ミハルス)から本格的なフラメンコカスタネットまで様々なタイプのものがある。教育用カスタネット(ミハルス)の叩き方は、カスタネットを手のひらに置くか固定させ、もう片方の手で叩き合わせるのが一般的である。フラメンコカスタネットの奏法は、左右の親指にそれぞれカスタネットのひもを固定させ、他の4本の指で打ち合わせるのが一般的であるが、音色や音量など細かいニュアンスを表現するのがとても難しい。オーケストラ、吹奏楽にも多用され、最近では叩きやすくするため「柄」がついているものやテーブルに固定されているもの、スタンドに取り付け可能なものなど様々な種類のカスタネットがある。しかし、その見た目の華やかさ、そして幅広い表現を可能にする「フラメンコ奏法」をマスターするべく、音大生やプロの打楽器奏者も夢中になって練習するほど、魅力的かつ奥深い楽器である。全国にカスタネットを広め、その魅力を知ってもらう目的で活動している「日本カスタネット協会」が、元札幌交響楽団首席ティンパニー・打楽器奏者の真貝裕司氏により設立されている。
- カバサ Cabasa
- 南米発祥の楽器。ポルトガル語で「ひょうたん」を意味する。中を空洞にしたひょうたんのまわりに溝をつけ、糸を通して巻きつけた数珠玉をこすりつけたり叩いたりすることで音を出す。耐久性や扱いやすさなどを考えて改良されたメタルカバサが多用されている。
- カホン Cajon
- ペルー発祥の楽器。楽器を取り上げられた黒人奴隷がコンテナや引き出しの底を叩いて楽器代わりに楽しんでいたのが始まりだったとされている。一見ただの箱であるが、一台で低音から高音まで多彩な音を出せるので、ドラムセットの代用としても幅広いジャンルにおいて使われている。現在、日本でも爆発的に人気が出ている。あらゆる打楽器の中でもカホンは楽器初心者にも気軽に始められる楽器としておすすめされている。引き締まった中低音とキレのあるバズ音がバランスよくまとまって、コストパフォーマンスに優れている。
- カリンバ Kalimba
- アフリカの親指ピアノ「ムビラ」の名前でも知られる楽器。音程の異なった細い金属板を親指ではじいて音を出す。素朴であたたかいサウンドが特徴である。エスニックショップでも安くで売られているが、楽器用として使用するにはチューニングが必要になってきている。
- ガングルー Ghungroo
- インド製の小さな鈴。ダンサーが足に巻いて使用するのを打楽器用に応用し、カホンやジェンベなどの演奏と一緒にリズムを刻むスタイルで活躍している。
- ガンザ Ganza
- 主にブラジル音楽で使われる、いわばシェイカーの類似楽器で、空き缶に小石などを入れてふたをするだけで簡単に作ることもできる。アルミニウム製のガンザはシェイカーとしては大きな音量が出せる。
- ガンバン Ganban
- ガンバンとはインドネシア語で「鍵盤楽器」を意味する。ジャワ、バリ島において行われる打楽器中心の大合奏楽ガムラン音楽で使われます。ガムラン音楽で使われるガンバン属の楽器は他にも金属(青銅)でできたサロン、竹でできたアンクルンなどがあり、木でできたガムラン楽器を単に「ガンバン」と呼ぶこともある。
- キハーダ Quijada
- ロバや馬の骨でできたキューバの楽器。ヴィブラスラップの生みの親でもあるキハーダの奏法は、骨の側面を叩くと振動で歯がカタカタと揺れることで、ヴィブラスラップのような音、歯の部分を棒でこすることでギロのような音、というように2つの打楽器の音を兼ね備えている。見た目のインパクトが強い。
- ギロ Giro
- ラテン音楽などに使われる楽器。ひょうたんの中をくり抜いて作る元来のキューバ系のギロを改良、アレンジされ木製、金属製、竹、プラスチックといった様々なギロが市販されている。
- クイーカ Cuica
- ブラジル音楽のサンバなどに使われる楽器。太鼓の片面の皮(内側)の中央に垂直につけられた細い棒を湿った布で擦り合わせると独特な音が出る。皮を押さえることで張力が変わり変化に富んだ音を出すことができる。
- クラベス Claves
- ラテン音楽のサルサなどの基本となるクラーべを演奏する楽器。ラテン音楽以外にもクラシック音楽、ポピュラー音楽、ジャズなど幅広く使われる。材質はローズウッドや黒檀といった硬質の木材でできており、材質が硬いほど音圧が増しクリアな音が出る。この楽器を使った打楽器アンサンブルの曲にス5組のクラベスのために作曲されたティーヴ・ライヒ「木片のための音楽」という曲がある。
- グロッケンシュピール Glockenspiel
- 金属製の音板をピアノの鍵盤状に配列した楽器で、単に「グロッケン」や「鉄琴」と呼ばれる。オーケストラでは、モーツァルトの歌劇「魔笛」のパパゲーノの鈴の音にこの楽器が用いられた後、多くの作曲家によって使われてきた。女性がアクセサリーをするように、オーケストラにおいてグロッケンが旋律の上にキラキラと装飾を施す。
- 口琴
- 見た目はビールの栓抜きのようであるが、正真正銘の楽器である。
- コンガ Conga
- キューバ発祥の楽器で、ラテンパーカッションにおいてボンゴと同じく代表的な楽器。胴の部分には木製の素材が使われており、表面にだけ皮(牛や山羊)が張られている。最近は、胴にファイバーグラス、表面にはプラスチックといった人工素材で作られたコンガも浸透してきている。奏法は多彩にあり奥深い楽器。大きさの異なる2台1組のコンガをセットにして手で叩くのが主流であるが、打楽器アンサンブルや打楽器ソロなどにおいては3台以上のセットを組み、バチを用いて演奏することもある。
- コンサートチャイム Concert Chime
- のど自慢でおなじみ、金属管をピアノの鍵盤と同じく半音階に配列させた楽器。頭頂部をハンマーで叩いて演奏し、ダンパーペダルを踏むことで余韻の調整ができる。オーケストラでも多用され、単に「チャイム」と呼ばれることもある。
- コンサートトムトム Concert Tom-tom
- 主にクラシック音楽や打楽器ソロ・アンサンブルにおいて使用される楽器。単に「トム」や「タム」とも呼ばれる。ドラムセットのトムと比べ、構造上の差異はないが、クラシック音楽とポピュラー音楽では求められる音色が異なってくるため、別のカテゴリーに分けられて製造されている。この楽器は比較的に深胴のものがが多く、そのため余韻が長く音程感があるのが特徴である。
- コンサートバスドラム(大太鼓) Concert Bass Drum
- 吹奏楽・オーケストラでは欠くことのできない重要な役割を持った太鼓。ヘッドには、もともとスキンヘッド(牛皮)が使われていたが、スキンヘッドは湿気に敏感なためメンテナンスが難しい上に高価などの理由から、比較的に安価で湿気にあまり影響を受けないプラスチック製のヘッドが、中・高の吹奏楽部では基本装備となっている。プロの楽団においては、殆どが本皮を使用しており、その中でもレフィーマ(ドイツの打楽器メーカー)のバスドラムは絶大な信頼を置かれている。
- サイレンホイッスル Siren Whistle
- 「ヒューン」というアニメーション等効果音でおなじみの笛(打楽器に属する)。息を吹き込むと中のファンが回転してサイレンのような音が出る。トロンボーンのような動きで音程が操れるため、効果音のみならず音程楽器として用いている曲もある。
- サンバホイッスル Samba whistle
- ブラジルの代表的な音楽、サンバで使われる笛。ブラジルでは、笛全般のことをアピートと呼び、もともと木製のものが用いられていたが、現在はプラスチック製や金属製のアピートが多用されている。木製はやわらかい音色、プラスチック製は力強く遠くまで響く。
- シェイカー Shaker
- 振って音をだす楽器のことで、同類の楽器にカシシ、マラカス、ガンザなどがある。形の種類も円柱、角柱、卵型、ペットボトル型(自家製)と多彩である。音色を左右する要素は2つ、楽器本体の材質(ウッド、メタル、プラスチックなど)と、中に入っている粒の材質である。選び方としては、粗く大きい音を求めるならサイズの大きいメタル製で中の粒も大きいもの、繊細でアンサンブルに溶け込みやすい音を求める場合はウッド製で粒が小さいものである。この楽器は、ポピュラー音楽を中心に幅広いジャンルの音楽シーンになじみやすいため、パーカッショニストにとっては必要不可欠なアイテムの1つになっている。また、音を鳴らすのが比較的簡単なので、他の楽器演奏者も気軽に振って楽しむことができる。
- シェケレ Shekere
- アフリカに起源をもつ楽器。糸に通したビーズなどを、ひょうたんの周りに張り巡らせてある。作りはカバサと似ているが、カバサは主にこすって音を出すのに対し、シェケレは振ったり叩いたりして音を出す。
- ジェンベ Djembe
- 西アフリカ発祥の楽器。ジャンベとも呼ばれるこの太鼓は、近年、コンガやボンゴなどのポピュラーパーカッションと並んで強い存在感を見せている。 打面には主に羊の皮が使われており、基本的に素手で叩く。1本の木を切り抜いて胴を作り、ヤギの皮のロープを使って固定するトラディショナルなものから、チューニングのしやすさ、強度の面などを追求されて作られる合成素材のものまで多様化してきている。この楽器を世界に広めたジェンベの第一人者ママディ・ケイタ氏は、日本においてのジャンベ普及に大きく貢献している。
- シロフォン Xylophone
- アフリカと東南アジアで発達した木琴の一種であり、ローズウッド(紫檀)など堅い木の音板をピアノの鍵盤と同じに配列させた鍵盤楽器。同じく木琴の種類であるマリンバに比べ、楽器自体の大きさは小さく音は明るく鋭い。音域は一般的に3オクターブ半~4オクターブ。演奏用のマレットには、木、プラスチックが適しているが、曲想によって毛巻きのマレットが使われることもある。オーケストラの曲に用いられることが多く、その中でも有名な曲にハチャトゥリヤン作曲、バレエ音楽「ガイーヌ」より“剣の舞”がある。音楽教育用の楽器としても広く使われていまる。
- シンバル Cymbal
- シンバル群の総称であり、2枚1組で演奏する「合わせシンバル」を指すこともある。
- クラッシュ・シンバル Crash Cymbal
- 一般的にサイズ14~19インチのシンバルでドラムセットにおいて主にアクセントをつける役割があり、曲を華やかに演出する。この楽器は、ドラムセットに左右に1枚ずつセッティングするパターンが多い。右側に置くのは、フィルインがフロアタムで終わった次にクラッシュ・シンバルを叩きたいとき近くにあると便利であるから。左側に置く理由は、スネアドラムやハイハットとの絡みの中でクラッシュ・シンバルを入れたいときに便利であるから。また、サイズやウェイトの異なるクラッシュ・シンバルを組み込むことで多彩なクラッシュ・サウンドを楽しむことができることから、3枚以上セッティングするドラマーもいる。 クラッシュ・シンバルは他の種類のシンバルにと比べても各メーカー扱うラインナップが豊富で、そのサウンドキャラクター(音色)は合金(銅、錫)の配分割合、口径、厚さなどの違いによって変わってくるので1枚1枚個性がある。
- サスペンド・シンバル Suspend Cymbal
- 主にオーケストラや吹奏楽に使われるシンバルの一種。他の種類のシンバルより比較的に余韻が長く、倍音が多いのが特徴である。楽譜上で音の長さを指定される場合が多いクラシック音楽において、1小節間、音を持続させる場合は全音符で記譜されるが、この場合の奏法はスティックやマレットなどで一度叩いてその音を小節間じゅうぶんに伸ばす必要がある。他にも、この楽器の奏法の特徴としてトレモロ(連打)がある。特にバラードのような曲で盛り上がりの場面に合わせてトレモロ奏法を使ってクレッシェンド(だんだん強く)すると効果的である。
- スプラッシュ・シンバル Splash Cymbal
- 一般的に6~12インチの小径シンバルのことで、ドラムセットの中ではエフェクト的な役割である。サステインが短く、歯切れのよい「パシャッ」とした音が特徴で、短いアクセントがほしいときやフィルイン時などに使用される。ドラムセットの標準的なセット内容には組み込まれていないが、手数の多いドラマーやフージョン系で使われることが多く、異なるサウンドのする複数枚を組み込むのこともある。この楽器は、他のシンバルに比べると薄く、割れやすいのでスティックで叩く際は必要以上に強く叩きすぎないなど注意が必要である。
素手でも十分鳴らせるため、最近ではカホンのようなハンドパーカッションのセットに組み込まれることも多い。小出シンバルにハンド・シリーズという微かなタッチにも素早く反応するように開発されており、カホン用のシンバルとして極薄仕様なのでスティックでの演奏は控えたほうがよいものもある。
- チャイニーズ・シンバル Chinese Cymbal
- その名の通り、中国のシンバル。縁が反り返っているのが特徴で、倍音が多く含む個性的なサウンドは叩くだけで存在感は抜群である。メタルやハードロックにおいては、ハイハットやライド・シンバルのように連続して叩くことでリズムを刻む場合もあるが、ドラムセットの中でスプラッシュ・シンバルと同じく、エフェクト系のアイテムとして組み込まれることが多く、基本的には曲の盛り上がりを演出したいときや強烈なアクセントを必要とするときに使われる。標準サイズは16~20インチであるが、メーカーやシリーズによっては、22インチや14インチもラインナップされている。他にも、8~10インチのチャイニーズ・スプラッシュという2つの要素を含んだシンバルもあり、普通のチャイニーズ・シンバルに比べて余韻が短く軽い音である。サウンド的にもビジュアル的にもインパクトがある。
- ハイハット・シンバル Hight-hat Cymbal
- 高い(hight)帽子(hat)という意味で名前がつけられた、通称「ハイハット」と呼ばれる楽器。この楽器は、ハイハットスタンドに取り付けられた13~15インチの2枚1組のシンバルを、ぺダルを踏むことで開閉することのできる画期的なアイテムである。主にドラムセットの一部として使われビートを刻んだり、叩きながら「オープン」「クローズ」させることで、シンバル同士が接触する音や余韻の調節ができる。2枚のうち上のものを「トップ」、下のものを「ボトム」といい、厚さは同じ、もしくはトップのほうがやや薄い組み合わせをする。また、上下で同じシリーズの組み合わせをするのが一般的であるが、あえて違う種類を組み合わせているドラマーも多い。また、ボトムのシンバルに丸い小さい穴が空いたものやシンバルのエッジ(端)の部分が波状になっているサウンドエッジ・ハイハットというものがある。これは、ハイハットを閉じたときに空気が逃げることで切れのよいシャープな音が出るように工夫されたものである。
- ライド・シンバル Ride Cymbal
- ドラムセットに組み込まれ、主にリズムを刻むシンバルでトップ・シンバルとも呼ばれる。サイズは18~24インチが一般的で厚さはミディアムからヘビーといった比較的厚めのものが多い。一般的にはドラムセットの右手側、クラッシュシンバルより低い位置にセッティングされるが、クラッシュシンバルの要素も兼ねて演奏するジャズドラマーも多く、その場合は右手側のシンバルは1枚である。ジャズドラムの肝「レガート」を刻むこのライド・シンバルは、ジャズドラマーが特にこだわりを持つアイテムで、叩く場所やスティックの当てる角度によって多彩な音色を引き出すことができる。
- タイゴング Thai Gong
- 「ゴング」とは銅鑼の仲間の総称を意味し、ここでは「タイゴング」のことで、オーケストラなどで使われる中国製の「銅鑼(タムタム)」とは異なる楽器。特徴としては、表面の真ん中にコブがあり、他の銅鑼に比べ音程感があることである。ガムラン音楽では、様々なゴング属(クノン、クトック、ボナンなど)とガンバン族がリズムを刻んだり旋律を奏でたりする。
- ビブラスラップ Vibraslap
- 演歌や時代劇の「カ~~~~ッ」という効果音でおなじみの楽器。中が空洞になっている木の箱とおもりがLの字に折り曲げられた金属の棒でつながっている。L字型の底部を片手で持ち、もう一方の手でおもりを叩くと、木箱の中に入っている鉄片が振動し木箱の内面に接触することで音がでる構造になっている。とても特殊な音なので、楽曲中でも使われる場面は限られている。