日米安全保障条約3
出典: Jinkawiki
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1951年9月8日に対日講和条約と同時に署名された「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」(1952.4.28.発効)と,1960年1月19日に署名された「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(1960.6.23.発効)の二つの条約の総称。 1951年に締結された旧条約は前文と 5条からなる。日本国内へのアメリカ軍の駐留を認め,この在日アメリカ軍は極東における平和維持に寄与し,外国の干渉によって日本に大規模な内乱,騒擾が発生して日本政府の要請があった場合,また日本が外部から武力攻撃された場合に出動できると規定した(1条)。アメリカ軍の具体的な配備などの条件は,旧条約と同日に発効した日米行政協定に定められた。 1960年に締結された新条約は前文と 10条からなる。日米間の政治,経済上の協力がうたわれ(2条),アメリカが日本を防衛する義務が明文化されて,日本が武力攻撃を受けて防衛行動をとった場合の国際連合安全保障理事会への報告義務,および同理事会が平和回復に必要な措置をとったときに行動を終止することを定めている(5条)。5条は,日本が他国から武力攻撃を受けた際にアメリカが集団的自衛権を行使して日本を防衛する根拠となっている。また「アメリカ合衆国は,その陸軍,空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」として,アメリカ軍の日本での駐留を認めている(6条)。条約の効力は 10年で,その後は双方のいずれかが終了の意思を通告してから 1年後に無効となる(10条)。日米行政協定は日米地位協定として新たに締結された。新条約は 1970年に自動延長され,1972年の沖縄返還で沖縄県も同条約下に入った。新条約の締結前後は,極東条項をめぐる安保改定問題など,内政上の大きな争点となり,在日アメリカ軍基地をめぐる紛争も続いたが,その後は条約の存在そのものが政治的な問題とされることは少なくなり,冷戦終結後も継続された。日米安全保障条約に基づく防衛協力の具体的なあり方に関する取り決めとして,1978年に日米防衛協力のための指針が発表され,1997年と 2015年に改定された。
参考文献
21世紀の安全保障と日米安保体制 菅英輝、石田正治著 ミネルヴァ書房