移民問題
出典: Jinkawiki
←前の版 | 次の版→
目次 |
移民とは
通常の意味でいわれる移民とは,自由意思に基づき平和的に生活の場を外国に移し定住する人のことである。たとえば日本の場合、日本以外の国からきて、いま現在日本にくらす者,あるいは,その子孫(移民二世〜)としている。文部科学省では「外国人(児童生徒)」という用語を使用しており,『学校基本調査』で外国人児童生徒の在籍数や,「日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況」(外国籍・日本国籍とも)についてのデータを収集・公開している。ただし,移民といったからといって,それが日本国に定住・永住するという「入移民」をさすだけではなく,短期間にでかせぎにくる労働者である「一時的移民」や,二国間・多国間にまたがって「経済的・政治的・文化的な関心を追求する人びと」としてのトランス移民も含意することには留意すべきである。
経済、財政の悪化に伴う移民の問題①
雇用及び賃金へのネガティブな影響が、移民の場合にはより不利に働くことである。最新の国際調査によるとネイティブに比べて多くの移民が失業しているという。移民が就いている仕事は景気変動の影響を受けやすいため、移民は職を失いやすい。また、移民は雇用保障が十分ではなく、低技能の仕事に就いていることが多い。これらの仕事は、移民が取得している資格に見合っていない場合がほとんどである。移民は雇用及び失業の際に差別の対象となりやすい。
経済、財政の悪化に伴う移民の問題②
出身国への帰国を含めた移動の在り方に影響が出ている。受け入れ国のおける雇用の見通しは暗くなり、移民にとって魅力のないものとなる。どの程度魅力が喪失するかは出身国における雇用の見直しが諸外国と比べてどのような水準にあるかによる。オーストリア、デンマーク、アイルランド、オランダ、ノルウェーに関しては、判断を下すのは時期尚早であろう。スウェーデンでは2008年から2009年にかけてアイルランド人以外の労働者に対する公的サービスの提供が49%減少している。2009年2月までの12か月間でEU加盟国以外の出身者の労働者に対する労働許可数は減少している。
経済、財政の悪化に伴う移民の問題③
移民の子どもに対する教育及びその他のプログラムへの公的投資が減少したことによる。 アイルランドは緊急の国予算問題のために、教育予算への増加額分を削減した。移民の子どものための言語教育への支援も含め、教員のポストが減少している。
移民政策
移民の出入国管理制度も移動の在り方に影響を与える。よく見られるのが、国が入国許可の条件を厳しくすることである。たとえばアイルランドにおける難民申請者の数は、それほど増加していない。政府は出身国のリストを作り、難民申請者の出身国に優先順位をつけている。加えてアイルランドは最も低い技能の仕事を求める人々に対する労働許可条件を厳しくしている。そのため、高い技能を必要としない職への応募は、EU加盟国出身者に占められている。アイルランドの移民のほとんどはEU加盟国出身者である。
日本と移民
移民が抱える問題は、多くの省庁にまたがっている。しかしいくつかの国々では、移民が抱える問題のリスクを軽減させるために、政策の展開を発展させてきた。シンガポール紙「チャンネル・ニューズ・エイジア」によれば、OECD(経済協力開発機構)の発表で、2016年に約43万人が移住(一時訪問者やビザによる再入国を除く外国人入国者)している日本は、世界第4位の「移民大国」だと、報じられている。日本では最近、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が閣議決定されて、賛否の議論が吹き荒れている。 労働力不足や高齢化などの問題を抱える日本では、これまで「外国人技能実習制度」の研修外国人などに期限つきで単純労働をさせてきたが、2019年4月から、それに加えて一定の技能を持つ外国人を対象に新たな在留資格「特定技能」を創設することに決めた。これが「移民の受け入れ」ではないかと指摘されているのである。 政府は外国人が増えることに不安を抱く国民感情を意識して、これまでの制度同様に、新しい制度で来日する労働者は「移民ではない」と主張している。つまりはっきりとは言わないが「永住させない」「資格が終わったら帰国させる」と示唆している。 日本政府は内向きに「移民」という言葉で口ごもっている場合ではない。もちろん誰でも彼でも受け入れるのは無謀だが、将来に向けて気持ちよく有能な労働者を受け入れるべく活発な議論をしたほうがいいのかもしれない。
参考文献
OECD(2011)『移民の子どもと格差』明石書店
橘木俊詔(2012)『格差社会』ミネルヴァ書房
『日本は日本はすでに「移民大国」そのメリットをカナダに学ぶ』https://courrier.jp/news/archives/142755/
ハンドル名 furami