アウシュビッツ強制収容所2

出典: Jinkawiki

2019年1月19日 (土) 14:46 の版; 最新版を表示
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目次

概要

ナチス=ドイツによるユダヤ人の大量殺戮が行われた強制収容所の一つであるが、その中で最も規模が大きく、犠牲者も多かったところで、ナチスによるホロコーストの象徴的な場所となっている。現在のポーランドの古都クラクフの西50kmに位置し、ドイツがポーランドを占領した後、東オーバーシュレージェン地方としてドイツ領に組み込んだところにあった。現在のポーランドの地名ではオシフィエンチム市とされている。


経緯

1940年4月、ヒムラーがアウシュヴィッツ強制収容所の建設を命令し、6月14日に親衛隊将校ルドルフ=ヘスを所長として開設された。当初はポーランドの反ナチ活動家などを収容していたが、41年6月22日、独ソ戦が始まると、大量のソ連兵捕虜を受け入れ、施設も拡張された。収容所は高圧電流を流した二重の有刺鉄線で囲まれ、28のブロックにわかれた収容棟があった。収容施設とは別に、捕虜に対する人体実験を行う施設もあった。収容所の周辺には化学工場や金属工場が作られ、捕虜を労働させていた。41年9月、ヒムラーはヘスに対し、収容所を拡充し、10万にを収容できるようにすることと、労働不能の捕虜の殺害を効率的に行うよう指示し、毒ガスチクロンBを使った大量殺害が検討された。これらはポーランドおよびドイツからの大量のユダヤ人を最終的に殺害するためのものであった。10月、アウシュヴィッツ第2収容所の建設が隣接するビルケナウで始まり、ソ連軍捕虜約1万が動員され、翌年まで生き残ったのが2%にすぎないという過酷な労働が強いられた。


ユダヤ人大量虐殺

1942年1月、ユダヤ人絶滅政策の最終解決のためヴァンゼー会議が開催された。その結論により、7月、ヒムラーは各地の収容所を検分し、アウシュヴィッツにも訪れた。7月22日からはワルシャワ・ゲットーのユダヤ人がトレブリンカ絶滅収容所に送られガス殺が始まった。アウシュヴィッツでは新たにビルケナウに建設された第2収容所が大量ガス殺の現場とされた。大量殺害はクレマトリウムといわれる、ガス室と焼却炉が複合した施設で、痕跡を残さずに行われた。クレマトリウムは第1に1カ所、第2に7カ所の合計8施設あり、最盛期には一日に約8000人を殺害、焼却したという。アウシュヴィッツで殺害されたユダヤ人はハンガリーから移送された人々が最も多かった。ナチスのユダヤ人担当アイヒマンがハンガリーに派遣され、徹底したユダヤ人狩りが行われた結果だった。 抵抗 収容所から脱走を試みた者も何人かあったが、かれらの訴えは国際世論を動かすところまで行かなかった。しかし、収容所内での組織的な抵抗も起こっている。ドイツ軍がソ連軍に押されて後退し始めていた1944年10月7日、ビルケナウのクレマトリウムⅣ構内で親衛隊による点呼と「選別」が行われはじめたとき、ユダヤ人特別労務班員(殺害の補助役として選ばれたユダヤ人だが、いずれは殺害されると恐れていた)が親衛隊員に鉄棒、岩石などで襲いかかり、収容者を虐待することで悪名高かったカポ(ドイツ人受刑者)のカールは生きたまま焼却炉に放り込まれた。600人ほどのユダヤ人が脱走を試み、一部は納屋に立てこもった。しかし脱走は失敗し、ほとんどが射殺されて終わった。この武装蜂起はクレマトリウムの焼却炉の8つを破壊したのと止まったが、数週間後の11月、ヒムラーはガス殺中止命令を発した。戦局が悪化し、ソ連軍が迫りつつあったからである。1944年11月26日にビルケナウ収容所で最後の選別が行われ、45年1月6日、女性収容所で武装蜂起を助けた4人が絞首刑となり、20日には最後のクレマトリウムが親衛隊員の手で爆破された。収容所の責任者ヘスはポーランド人民裁判所に送られ、戦争犯罪人として有罪判決を受け、元アウシュヴィッツ収容所内の役宅で絞首刑とされた。彼が裁判で証言したのはガス殺が250万、饑餓・疫病・銃殺が50万、計300万であったが最後には113万5千に修正した。解放したソ連軍の調査では400万とされた。現在最も信頼されている犠牲者数は、ポーランド国立アウシュヴィッツ・ビルケナウ歴史研究センターのピーパー所長が発表したもので、アウシュヴィッツへ各国から強制移送された人々は、約130万で、そのうちユダヤ人は110万(ハンガリー系が43万8千)だった。その後、他の収容所に約20万が移送されているから、アウシュヴィッツでガス殺・銃殺・饑餓・栄養失調・病気・拷問などで亡くなった人は約110万と見積もられている。そのうち、ユダヤ人は百数十万であったと推定される。


参考文献

・E・トラヴェルソ(2002)『アウシュビッツと知識人』岩波書店

・ルドルフ・ヘス(1999)『アウシュビッツ強制収容所』講談社学術文庫

H.N おーたむ


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