東京ディズニーリゾートの経営戦略

出典: Jinkawiki

2019年1月19日 (土) 16:40 の版; 最新版を表示
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目次

概要

90年代初めからテーマパークが日本全国で建設された。しかし、バブル経済崩壊から長いあいだ日本経済は長期の不況下にあり、一時は脚光を浴びたテーマパークが相次いで休園、倒産を余儀なくされた。現在、日本のテーマパーク産業は、東京ディズニーリゾートの一人勝ちともいえ、テーマパーク全体としては右下がりの傾向にある。このような状況下で、東京ディズニーリゾートは日本人から圧倒的な人気を出し続け、リピート率はなんと90%以上という数字を出している。

東京ディズニーリゾートとは

「東京ディズニーリゾート」は千葉県浦安市舞浜にあるテーマパークを中心としたリゾート施設群である。2 つのディズニーテーマパークとディズニー関連ホテルを中心にショッ ピング施設などから構成される。経営・管理・運営はオフィシャルホテルを除き、株式会社オリエンタルランド(OLC、Oriental Land Company)および同社の関連会社で構成される「OLC グループ」が行っている。世界のディズニーリゾートでは唯一、ディズニーの資本が全く入らない他社のライセンス契約による所有・運営を行っている。

経営戦略

空間作り

まず、東京ディズニーリゾートの経営戦略の一つとして、「空間作り」が挙げられる。 「夢と魔法の王国」が売りのディズニーリゾートにとってその点は非常に重要である。 東京ディズニーランドに入園して初に通過するのはアメリカの古い建物が並ぶ「ワールドバザール」である。19 世紀末から20 世紀初めにかけてのビクトリア王朝風の建物を模した町並みは、大掛かりな映画のセットに入ったような印象を受ける。建物の中にはお土産の商店やレストランがあり、店の看板はすべて英語である。東京ディズニーランドはアメリカのディズニーランドやディズニーワールドの忠実なコピーである。「本場の雰囲気をできるだけ楽しんでいただく」として、店の看板だけでなく、人形たちのせりふや歌の日本語化も小限にしている。まさに「ここは日本ではなく、アメリカである」ということを訴えかけようとしているかのようである。また、ワールドバザールのアーケードを 抜けると中央公園の「プラザ」に出る。ここでは、半世紀以上前のオムニバスやクラシックカーが雰囲気をより盛り上げてくれる。この導入部の巧みさはディズニーランドの秘密の一つと言えるだろう。

優秀な人材育成

接客のマニュアルはディズニーランドに限らずサービス産業ではかなり広まっている。 しかし、ディズニーランドのようにアドリブが生かされているところは少ない。なぜなら、 他のところにはマニュアルを超えた何かを伝えようという意欲を持った従業員がそれほど 多くないからである。ディズニーランドが誇る異空間の雰囲気はキャストにも伝染してい る。「ここはアメリカ」とゲストが意識してしまうのと同じく、キャストも「ここはアメリカ」と意識して、オーバーアクションの従業員を気取ってしまうということである。 東京ディズニーランドのキャストたちの気持ちの良い応対ぶりはサービスのマニュアルとキャストのアドリブによってできている。これがディズニーサービスの秘密だが、それならこのマニュアルを手に入れて読ませれば、どの遊園地の従業員でもサービスが向上するかといったらそうでもない。マニュアル通り実行するためには、そのためのトレーニングが必要だからである。ディズニーランドは、このトレーニングのために人手と時間をかけている。アルバイトを含め従業員は初めにオリエンテーションを受ける。通常は12 時間、一日半の日程である。その内容は、ディズニーランドを運営しているウォルト・ディズニー・プロダクション7の歴史から、ディズニーランドの基本理念、各テーマパークの説明、後はキャスト の心構えについてなどである。このオリエンテーションが終わると、各部に配属される。 ここで一日かけて部全体の仕事の説明を受けると、実地教育が行われる。期間はポップコーンの売り子やカストーディアルなど比較的やさしい仕事でも、オリエンテーションから含めて 3~4 日かかる。トレーニング期間中はお客にサービスを提供しないため見返りがない。つまりディズニーランドは、それだけ余計にコストをかけているのである。キャスト達の言葉使いは、はきはきしていてトレーニングの成果がうかがえる。身だしなみにおいてもディズニールックという基準がある。女性はマニキュアやイヤリングは禁止であるし、男性も髪が耳にかからないように注意される。また、ディズニーランド特有のスマイルも好印象をゲストに与えるのではないだろうか。「パーク内のあらゆるものがショーであり、毎日がショーの初演」というのがディズニーの考えである。掃除係や操作係など裏方を含めた全職種にコスチュームをつけさせ、表舞台に立たせているのも、この考えからである。ディズニーランドは遊園地産業をショービジネスに変えたと言われるのもそのためであろう。つまり、コスチュームを身につけ、自分の役割を懸命に演じるキャスト達を育てることで、これまでの遊園地をはるかに越えたのである。

参考文献

有馬 哲夫『ディズニー千年王国の始まり』NTT 出版 2001 年 粟田 房穂『ディズニーリゾートの経済学』東洋経済新報社 2001年 河野 英俊『ディズニーランドの接客サービス』ぱる出版 2003 年 小松 浩一『ディズニーランドの超人材活用術』ぱる出版 2004 年

ハンドルネーム: Fields increase


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