ブロイラー
出典: Jinkawiki
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肉用鶏には「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」がある。 「ブロイラー」とは、短期間で出荷できるよう品種改良で成長速度を早めた肉用鶏を指しており、 特定の品種では無い。日本で流通している鶏肉のほとんどはブロイラーだ。
[日本でのブロイラー]
日本では、約1億5,300羽のブロイラーが飼育されており、年間約6億8000羽が出荷されている。 飼育数より出荷数が多いのは、孵化後50から56日で出荷されるからだ。その多くは若鶏だ。 日本には、肉用鶏の飼育密度に関する法的な制限がなく、平均は1平方メートルあたり46.68kgとなっており、 出荷時には1平方メートル(畳半分程度)に15羽もの鶏が詰め込まれている計算になる。
[ブロイラーの環境]
・過密飼育
・タンパク質含有量の多い濃厚飼料(本来増える体重の4倍以上の体重に増量可能)
・照明が常についた環境での飼育(過密飼育によって眠れない)
[ブロイラーのもたらす悪影響]
「厚生労働省研究班の調査で、国産や輸入の鶏肉の半数から抗生物質が効かない薬剤耐性菌が検出されたことがわかった」 (2018年3月31日、共同通信配信)というのだ。体力や免疫力が落ちた人の体内に入って感染すると、抗菌薬による治療が難しくなる恐れがある。 調査では輸入鶏肉より国産鶏肉の方が耐性菌の検出割合が高い。 世界的には、抗菌薬の予防的な使用と薬剤耐性菌との関係が問題になっている。 イギリスの経済学者のジム・オニール氏は2016年に発表した「抗菌薬耐性に関する考察」の中で、「2050年には、毎年世界で1000万人が耐性菌で亡くなる」と予測している。 これは2014年のガンによる死亡者数(820万人)を上回る。
[参考文献]
枝廣淳子(2018)「アニマルウェルフェアとは何かー倫理的消費と食の安全ー」岩波書店