徴用工問題

出典: Jinkawiki

2020年1月1日 (水) 19:22 の版; 最新版を表示
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 レーダー照射事件やGSOMIAの破棄や慰安婦問題、徴用工問題などによって日韓関係は悪化している。悪化させている一つの要因である徴用工問題について説明する。


[徴用工とは]

 太平洋戦争中、日本人兵士が戦地に行き、日本人労働者が不足した。当時、日本が植民地支配をしていた朝鮮から労働力として強制連行され、働かされた人々がいた。この人々を徴用工と呼ぶ。しかし、必ずしも強制連行された人ばかりではなく、職を求めて自ら望んで日本にやってきて働いた人々もいた。徴用工として働かされた人々が、当時の新日鉄住金や三菱重工業など日本の企業に対して賠償を求め訴訟を起こしたのは2005年であり、最終的な判決は2018年に出されたが、問題は依然として解決していない。


[徴用工問題年表]

1910.8.22 韓日合併条約 1941.12.8 真珠湾攻撃、太平洋戦争開始 1942.2     朝鮮人内地移入斡旋要綱 1944.8.8 国民徴用令を朝鮮人にも実施する 1945.8.15 日本が連合国に無条件降伏 1945.12.6 米軍軍政法令第33号により在韓日本財産を米軍政庁に帰属させる 1948.12.10 国連総会が世界人権宣言を採択 1951.9.8 サンフランシスコで対日平和条約 1965.6.22 「大韓民国と日本国間の基本関係に関する条約」・「請求権協定」・「請求権協定に関する合意議事録(1)」 2012.5.24 韓国・新日鉄事件大法院第1部判決 2018.10.30 韓国・新日鉄住金徴用工事件再上告審判決

上記の年表は「『徴用工問題』とは何か? 韓国大法院判決が問うもの」〔戸塚悦郎,2019,明石書店〕の年表資料より一部抜粋


[韓国大法院判決]

 韓国大法院(日本の最高裁にあたる)は新日鉄住金の上告を棄却し、原審判決を確定させた。原審における判決内容は元徴用工に対して1人当たり1億ウォン(約1000万円)の慰謝料を支払うことを新日鉄住金に対して命じるものであった。    大法院は賃金の未払い等に対する請求権は日韓請求権協定に含まれていることを認め、財産権の問題は終わったとしている。一方、日本政府が韓国を植民地支配したことは不法だという前提の下、強制連行といった非人道的な行為に対する個人の慰謝料請求権は行使できるとしている。


[日本政府の主張・解釈]

 戦後の日本は原爆投下やシベリア抑留など、他国に対する請求権行使の問題を抱えていたため、元徴用工の日本企業に対する請求権の行使も認める立場にあった。

 しかし、今では元徴用工の請求権については日韓請求権協定において解決済みということを主張している。現在の安倍首相も同じ見解を述べている。


  (以下の注は「『徴用工問題』とは何か? 韓国大法院判決が問うもの」(戸塚悦郎,2019,明石書店)より要約・引用したものである)

※個人の請求権と実体的権利について    日本の最高裁判所の判断(2007年西松建設事件、最判平成19年4月27日平成16年第1658号)においては、被害者の個人請求権自体は残っているが、「サンフランシスコ平和条約の枠組み」により被害者が裁判所に訴えて支払いを求めることは不可能であるということになっている。しかし、加害者である企業側が自ら損害賠償することは法律上可能となっている。


[韓国政府の主張・解釈]

 韓国は、元徴用工の請求権問題については日韓請求権協定において解決済みとしてきた。さらに、現在では被害者(元徴用工)への非人道的な行為に対する賠償金を認めるという、韓国での判決を支持する立場をとっている。


[徴用工問題の現状]

 徴用工問題の解決策として、2019年12月18日に「記憶・和解・未来財団法案」を文喜相国会議長が提出した。日韓の企業と個人からの寄付金によって基金を設けて、元徴用工に慰謝料を支払うという内容だが、企業や個人に対して寄付を強要しないという。


 徴用工問題に関して、日韓双方の意見は食い違っているが、元徴用工の人々が納得する形での解決策を、現在両国とも模索している。


[参考文献]

・「『徴用工問題』とは何か? 韓国大法院判決が問うもの」(戸塚悦郎,2019,明石書店)

・朝日新聞 2019.12.6付国際面

・日本経済新聞 2019.12.19付国際面


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