確証バイアス
出典: Jinkawiki
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確証バイアス(confirmation bias)とは、ある仮説を確かめる際に自分が抱いた先入観や信念を肯定的に証明する情報を重んじて追求するも、これに反するような情報は軽んじたり、黙殺したりする傾向にある現象のことをあらわす心理学用語である。
ウェイソンの論理パズル実験
心理学者のウェイソン(Peter Cathcart Wason,1924~)は、論理パズルの実験を行った。
この実験は仮説を反証するような情報を探そうとしない傾向があることを確かめるための実験である。 ここに一方の面にはアルファベットが表記されてあり、もう一方の面には数字が表記されているカードが4枚並べられており、それぞれ「E」「K」「4」「7」の文字が表に書かれている(図1)。次の仮説が真か偽かを確かめるためにはどのカードをめくればよいだろうか?(2枚めくるのが条件)
「カードの片面のアルファベットが母音であれば、裏の数字は偶数である」
この問題に関して、回答者の多くは「E」と「4」のカードを選ぶ傾向があった。
しかし、正解は「E」と「7」である。
もし「E」のカードの裏が奇数か、「7」のカードの裏が母音であれば偽であることが証明できる。しかし「E」と「4」の組み合わせでは確証はされるものの、反証はされていない。
このように、ウェイソンは多くの回答者がこの仮説を否定し得る「7」のカードを選ばず、無関係な「4」のカードを選ぶ傾向を確証バイアスの証拠であると解釈した。しかし、この実験では、検証しようとする規則に明示的に述べられている文字と数字を含むカードに注意が向いてしまう傾向がある「一致バイアス」が生じているのではないかと解釈する研究者も中にはいる。どちらにせよ、反証するような情報を探そうとしない傾向があることは確かである。
確証バイアスにおける例
1.血液型別性格判断
「血液型が人間の性格と関連する」という信念を肯定・確証するような情報は重んじやすいが、それと同時に「血液型が人間の性格と関連する」という信念を否定したり反証したりする情報は軽んじたり、極端であれば無視しやすい。これは確証バイアスが効果的に作用している。
つまり、確証バイアスには、自ら抱く考えや信念、偏見などを持続させ、またそれを反証するような情報は無視されやすい働きがある。
2.偏見・差別
ひとたび偏見が形成されると、その事物に対してたとえ客観的に正しい情報を与えられたとしても、選択的にゆがめて受け取られてしまい、偏見は修正されず、かえってその偏見が強められてしまう傾向がある。(偏見については別の項を参照)
サブタイプ化
仮に客観的に自分の信念・予想とは異なった情報が与えられたとしても、それは「例外」としてとらえてしまう現象のことである。
たとえばいつも信じている占いがはずれてしまったとき、それはまぐれだと例外化してしまうのがサブタイプ化の例である。