人工肉

出典: Jinkawiki

2020年1月31日 (金) 20:47 の版; 最新版を表示
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人工肉

人工肉とは、「大豆や小麦のたんぱく質を主原料とする肉状の食品」のことで、「植物性たんぱく質の補給や肉加工食品の増量材に用いる。」(goo辞書) また、動物の細胞を培養液に浸し、人工的に細胞分裂させて作る「培養肉」もこれにあたる。 世界は食糧危機と環境問題に直面している。人工肉は、これらの問題を対処するための肉の代用として注目をあびている。

地球温暖化と畜肉

畜肉が原因となって排出されている温暖化ガスは決して少なくない。 国連食糧農業機関によると、二酸化炭素換算で553億トンの温室効果ガスが排出されており、そのうちの15%は畜産関係によるものである。飼料生産、輸送、生育させて出荷するまでの工程で、膨大な温暖化ガスが出されているのだ。

日本の豚肉生産においては、発生する温室効果ガスの70%が飼料の原料生産やその輸送から出るもので、生育の管理により出る割合は8.6%であった。環境負荷を下げるためには、飼料や輸送方法を重視し、改善策を検討していく必要がある。

家畜の放牧地と飼料を育てるために森林伐採が行われており、地球温暖化に大きな影響を与える深刻な問題となっている。世界の農地の75〜80%は、家畜のための飼料生産に使われている。陸地面積の26%は家畜の放牧地として使われているという事実がある。畜産業により、森林破壊の80%が引き起こされているといわれている。二酸化炭素を吸収する植物が伐採されることは、地球温暖化の促進を意味する。

食糧危機と畜肉

家畜を育てるためには多くの飼料が必要だ。農林水産省によると「食肉1キログラムを作るのに必要なトウモロコシは鶏4キログラム、豚6キログラムに対し、牛は11キログラム」である。(*1より引用)  飼料を作るために多くの水が消費されている。「飼料生産などに必要な水は牛肉1キログラムにつき2万リットル以上で、日本人1人の約70日分の使用量にあたる。」(*1より引用)。地下水を主に使う国では、飼料のために多くの水を過剰に使いすぎているところがある。それにより水が枯渇し砂漠化が進展すると、人が住むことができなくなる。畜産によって非常に大きな負荷が環境にかかっているのだ。

肉食のすすめ

体の大きい家畜ほど環境負荷が大きくなる。肉を食べないのが環境にもっともよいことだ。しかし、動物性のタンパク質からでしか摂取できない栄養素があるため、肉を完全に断つことは難しい。肉食をするのであるならば、自分の指向だけでなく、環境にかかる負荷も考え、食物を選ぶ視点が必要だ。

人工肉の現在

植物由来の人工肉は、市場が拡大されていくことが予測されている。 スイス最大の銀行UBSの調べによると、「世界的な人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」の時代が到来し、代替タンパク質としての植物肉の世界市場は9兆円を超えると見込まれて」いる。(*2より引用)

世界からみて大きな市場だといえる中国では、植物由来の人工肉市場は2014年から33.5%拡大して97億ドル、日本円だと1兆円近い規模となっている。 CBインサイツの予想によると、世界の食肉市場の規模は1兆8000億ドル、日本円にすると200兆円相当である。そのことを考えると、決して無視できない数字だ。 その原因は、アフリカ豚コレラによる豚肉価格の高騰や、悪化した米中貿易戦争の影響で、牛肉その他の食肉価格が上がったことがあげられる。 国同士の関係は肉にまで大きな絵協を与えている。 環境問題や肉食の是非に関心が高い若者の間で、人工肉が流行っているという。今後は食糧危機と、倫理面から動物の肉を食べない文化も発展していくであろう。

課題

植物由来の人工肉、培養肉それぞれ2つあげられる。 1つは、植物由来の人工肉では、味が肉には及ばないこと。これまで使われてきた主原料は大豆の搾りかすであった。加工技術が高水準にないので見た目や味に違和を感じることが多い。現在は、肉に近い人工肉をつくるため、日本の企業、例えば日本ハムやニチレイフーズなどで研究が進められている段階だ。 2つめは生産コストが高いことだ。これは植物由来、培養肉のどちらにおいてもいえることだ。現時点で植物由来の人工肉1ポンドあたりにかかるコストは、動物由来の肉に比べて10倍以上である。培養肉では100gあたり数百万のコストがかかる。食卓にでてくるのはまだ当分先のことであろう。 これらの理由から、人工肉は普及するまでにはまだ時間がかかるといえる。 3つめは、培養肉に関していえば、培養肉のほうが畜肉よりも環境負荷が少ないのか、まだ正確に分かっていないことだ。現時点では実験段階にあり、工場で生産した際どれだけの負荷になるのかは分からない。 今後も研究を進め、真に環境に負荷のかからない人工肉生産技術を進歩させていく必要がある。

最後に

人工肉は、環境保護、食料危機だけでなく倫理的側面から言っても人々の興味関心が高い分野だと言える。タンパク質を摂取するための、畜肉以外のあらたな選択肢の一つになりうるものだ。今後発展していく産業だといえる。技術的な発展が期待される。



参考文献

谷口郁 他 「肉豚生産のLCAによる環境影響評価」日本LCA学会研究発表会要旨集 (2003-03)

  • 1中日新聞「<環境視点>(上) 人工肉開発、背景に温暖化」

https://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2020010102000015.html(2020-01-30)

  • 2 PRTIMES 「植物肉スタートアップのDAIZとニチレイフーズ、資本業務提携を締結」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000052858.html(2020-01-30) GREEN PEACE 「肉食と環境破壊の驚くべき意外な関係」 https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2018/03/17/6905/ (2020-01-30) REUTERUS「焦点:中国の人工肉市場に熱気、米中メーカーが火花」https://jp.reuters.com/article/china-food-meatless-focus-idJPKBN1XT0IT (2020-01-30) 日本経済新聞「「ミートレス」の破壊力 200兆円食肉市場を脅かす」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52666110X21C19A1000000/

HN.安寧forever


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