ホスピス
出典: Jinkawiki
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ホスピスの定義
ホスピスとはターミナルケアを行う施設のことをいう。また、在宅でのターミナルケアを在宅ホスピタルと呼ぶこともある。
日本のホスピスの定義は、「一般には、がんなどの末期患者の肉体的、精神的苦痛を近代医学の治癒中心的な方法によって治そうとするのではなく、医学の力を借りながら精神的サポートを重視した患者ケアを行い、残された日々の質的向上を図ることを目的にされている施設をいう」(召田 長)とされる。また、アメリカの全米ホスピス協会では、「末期患者に専門的なケアをする特別のプログラム」をホスピスの定義としている。
ホスピスの由来
ホスピスのルーツは、中世ヨーロッパにおける巡礼者、旅行者や貧困者、病人などを休ませる宿屋、もしくは旅の巡礼者を宿泊させた小さな教会にあるといわれている。ホスピス(hospice)はローマ時代のラテン語hospi-tium(em)温かいおもてなし、歓待、休息所、宿屋を意味する言葉に由来する。
最初のホスピス
最初のホスピスは、イギリスのロンドンにある「セント・ヨセフ・ホスピス(SAINT JOSEPH’S HOSPICE)」である。1990年に、5人のアイルランド人シスターがスラムの病人たちの世話を始めたのがきっかけで、今なお現存する歴史のあるホスピスである。
この「セント・ヨセフ・ホスピス」で7年間滞在し調査・研究した女医のシシリー・ソンダース(Cicely Saunders)は、のちに末端看護の分野で苦痛を処理する方法に偉大な貢献をし、「セント・クリストファー・ホスピス」を建設、現代ホスピスの基礎を作ったとされる。
ホスピスの必要性
積極的な医療に適するようつくられた従来の病院施設では、ターミナルケアを目的とした環境を患者に提供することは難しい。また治療上の必要性から、面会や生活面に規則が設けられ、末期患者の心のケアを行うことのできる人員も限られる。そこで、ホスピスのような専門の施設が必要となってくる。
こういったターミナルケアを目的とした専門施設に望まれる条件としては、
- 緩和ケアなど十分な医学的対応ができること
- 精神面のケアが行えること
- 心和ませる環境、雰囲気があること
- 家族などが共に過ごせる宿泊施設、調理施設があること
- 嗜好品の持込や趣味など、私生活が尊重されること
などが挙げられる。(沼田 長)
日本の現状
近年、日本ではQOL(quality of life、生活の質のこと)の考えが広まり、徐々に施設数を増やしているものの、まだまだ少なく、更に厚生省承認の施設はごくわずかである。実際に施設運営にあたり患者の限定(末期がんのみ)や、赤字などの問題点、痛みや精神的問題に対応できる人材の不足、患者や家族への告知の迷いなど、考えるべき課題が山積みとなっている。
(参考資料)
『週刊ダイヤモンド』81巻3号 心地よく死ぬために~ホスピス・終末医療 充実の病院全調査~
(http://www.interq.or.jp/ox/meshi/daiya/kokoti.htm)
NPO法人 ホスピスを考える行田市民の会ホームページ
(http://www.sakitama.or.jp/kihp/npo/hosupisu.htm)
ウィキペディア ホスピス
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%B9%E3%83%94%E3%82%B9)