安楽死 3
出典: Jinkawiki
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一般的に安楽死とは、苦しい生ないし意味のない生から患者を解放するという目的の元に、意図的に達成された死、ないしその目的を達成するために意図的に行われる「死なせる」行為と言う意味で使われる。
安楽死とは、合理主義的発想に支えられて、他者の生命を多かれ少なかれ死の方向に意識して、人為的にコントロールしようとする人間的行為のことを言い、つまりは末期ガンなど「不治」かつ「末期」で「耐えがたい苦痛」を伴う疾患の患者の求めに応じ、医師などが死に至らしめることを言う。
安楽死の分類
安楽死は
(1)行為と死の因果関係の視点から①積極的安楽死(作為安楽死)、②間接的安楽死(結果安楽死)、③消極的安楽死(不作為安楽死)の3つに
(2)何が無意味な生存かの観点から①尊厳死的安楽死、②厭苦死的安楽死、③法規的安楽死、④淘汰死的安楽死の4つに
(3)生命主体の意思の観点から①任意安楽死、②非任意的安楽死、③不任意的安楽死の3つに分類することができる。
<詳細>
(1)行為と死の因果関係の視点から
①積極的安楽死 実施者が、ある生命の死を目指して積極的行為をもってその生命に働きかけるものをいう。これは必ず死をもたらすことがわかっている薬剤を与えたり、注射をしたりする場合を指す。 ②間接的安楽死 自己の意図的行為が結果として間接的に死をもたらすことがわかっているのに、この死をやむを得ないものとして当初の行為をなすものをいう。これは、苦痛の緩和と延命を充分に考えた上で、死期を早めることになるかもしれない処置や薬剤の投与などを施す場合を指す。 ③消極的安楽死 ある生命体が別の原因から死へのプロセスに入っている場合、自分の行為によりこの死をとどめたり進行を遅らせたりすることができるにもかかわらず、あえて行為を行わず、死に至らしめる場合を指す。
(2)何が無意味な生存かの観点から
①尊厳死的安楽死 「非理性的・非人格的な生命のあり方」に意味を見出せず、そのような状況での生存を拒否しようとするものを指す。 ②厭苦死的安楽死 激しく、耐えがたい、しかも鎮静の可能性もない身体的苦痛に伴われた人間生命のあり方に意味を見出せず、その状況での生存を拒否しようとするものを指す。 ③法規的安楽死 重度の心身障害をもっていたり「植物状態」にある患者さんを抱えた家族は経済的・肉体的・心理的苦痛を強いられる。場合によっては共倒れの危機に陥ることがないとは言えない。そのような場合に、患者さんの生命を保つことが不可能と考えるようになり、患者さんの致死をはかるものを指す。例として、老老介護に疲れ、将来への希望が持てずに配偶者と心中を図ったようなケースがかなり報告されている。 ④淘汰死的安楽死 国家共同体の存在に無意味、あるいは有害と判断された人間生命を、価値無き者として意識的に消去するものを指す。
(3)生命主体の意思の観点から
①任意安楽死 生命主体の意思に多かれ少なかれ沿ったものを指す。依頼安楽死と承諾安楽死に二分して考える。 ②非任意的安楽死 生命主体の意思が不明の場合を指す。 ③不任意的安楽死 生命主体が積極的に反対であるのに、その意思に反して行為者が実施する場合を指す。
日本において、安楽死の容認については慎重である。現在、安楽死は法的に認められておらず、刑法上殺人罪の対象になる。昭和37年の名古屋高裁の判決によると、以下の6つの要件を満たした場合には違法性が阻却されるとされている。 1、 死期が切迫していること、 2、 耐えがたい肉体的苦痛が目的であること、 3、 苦痛の除去・緩和が目的であること、 4、 患者が意思表示していること、 5、 医師が行うこと、 6、 倫理的妥当な方法で行われること
現在積極的安楽死を認めている国
アメリカ(オレゴン州)-1994年尊厳死法成立 オランダ-2001年安楽死法成立 ベルギー-2002年安楽死法成立 フランス-2005年尊厳死法成立