酸性雨

出典: Jinkawiki

2008年10月16日 (木) 15:14 の版; 最新版を表示
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・酸性雨とは

酸性雨は石炭や石油などの燃焼排ガス中に含まれる硫黄酸化物や、窒素酸化物が大気中で硫酸や硝酸となり、雨や粒子とともに地表に降ってくるために起きる。硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中で硫酸や硝酸に変化するのに、数十時間から数日が必要である。このため、汚染物質は広範囲に移流し、酸性雨は国境を越えて発生するため、国際的な問題となっている。 一方、我が国においては環境庁の調査結果で、欧米並みの酸性雨が観測されているが、生態系への影響については明確な兆候はみられていない。しかし、酸性雨が今後も降り続くとすれば将来、影響発現の可能性が懸念されている。


・酸性雨の影響

1、人体への影響

人体への影響症状としては目、喉、鼻に刺激を感じるなどである。また、変質した水道水による人体被害の例として、北欧で女性の髪の毛が緑色に変色した。酸性雨により水道水が酸性化し、それによって水道管から銅が溶出して銅により髪の毛が緑色に染まったのである。

2、土壌への影響

土壌に酸性雨が降ることによって、土壌が酸性化する。栄養分が酸と反応して流出し、栄養不足の土壌になり、成長が止まったり、収穫物の減少による被害がおこる。

3、森林への影響

森林に酸性雨が降ることで、森林が枯れ、土壌も汚染され砂漠化する。そこに生息する生物も減少し、死滅する。酸性雨による森林への影響としては、ドイツのシュバルツバルト(黒い森)の被害に代表されるよう、ヨーロッパでは非常に深刻な問題となっている。

4、歴史的建造物への影響

コンクリートや大理石の床、歴史的建造物などである彫刻や銅の屋根までも酸性雨は溶かし、銅像には錆を発生させる。例えばロダンの「考える人」の銅像は全体的に黒っぽい色調であるが、緑色の錆が流れて悲惨な状況となっている。


・酸性雨の対策と取り組み

海外では、1985年に締結された「ヘルシンキ議定書」、1988年に締結された「ソフィア議定書」などの法律が出されている。これにより、排出される有害汚染物質の量を減少させている。一方日本では、1970年代に起きた公害対策として硫黄酸化物、窒素酸化物など大気汚染物質の排出削減に努め、かなりの成功をおさめた。この公害対策によって酸性雨の原因物質が減少したために、現在のところ酸性雨に関する法的規制はなされていない。しかし、今後東アジア地域においては大気汚染物質の教授に関する調査研究がすすめられることが期待されており、この点に関して国際共同酸性雨モニタリング計画なども盛り込まれるべきであり、それに対する日本のリーダーシップというものが期待されている。




参考文献

・ポピュラーサイエンス 酸性雨と酸性霧   村野健太郎         裳華房

・地球環境・エネルギー最前線    通商産業省工業技術院  資源環境技術総合研究所    森北出版株式会社                                                                   


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