ジョン・デューイ
出典: Jinkawiki
ジョン・デューイ(John Dewey, 1859年10月20日-1952年6月1日)20世紀最大のアメリカの代表的な哲学者、教育学者であり、パース、ジェームズとならんでプラグマティズム(現代アメリカを代表する哲学。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、パースによって提唱され、その後ジェームズ、デューイへと主に継承され、発展してきた。和訳である実践主義・実用主義にあるように、非常に現実に密着した合理的判断を重んじる思考方法とされている。哲学など、人間の思考そのものやそれについての方法論を説く学問は、ややもすれば抽象的になりがちである。それは記号としての言語の限界であるとも言えようが、多分にテーマそのものへの切り口があまりに多種多様であり、法則性や科学的客観性を欠いたものであるためなのも否定できない。この点でプラグマティズムは、事実に至る探求において弊害となるであろう一切の先入観・固定観念を排し、万人が同意できる真実を現実の中に見出すための方法論を展開する。)を代表する思想家。彼は、新教育運動の基礎理論を展開し、その後の教育に大きな影響を与えた。彼の著書は数知れないほどあるが、教育関係書としては『学校と社会』(1899)や、『民主主義と教育』(1916)などが特に有名である。次に彼の教育思想をまとめる。
第一に、教育は子供の生活経験にもとづかなければならない、と主張した。すなわち、彼は、当時の学校が生活から遊離し、孤立していることを批判し、生活することによって生活することを学ばせ、生活を通じ、また生活との関連においてのみ学ばせるという、生活の経験を中心とした教育を構想した。 第二に、子供の自発活動を尊重した。彼によると、経験することによって学ぶのであるから、教育においては子供の活動が中心となる。彼は次のように述べている。「子供の学習については多くのことが語られるのかもしれない。しかし、学校はそこで子供が生活する場所ではない。いまや我々の教育に到来しつつある変革は、重力の中心の移動である。・・・・・・子供が太陽となり、その周囲を教育の諸々のいとなみが回転する。子供が中心であり、この中心のまわりに諸々のいとなみが組織される」。「教育の中心は、子供である」という考え方は教育におけるコペルニクス的転回であるともいえる。したがって、教師はある知識を教え込む権力者ではなく、子供の成長を助成する助力者、助言者になるということである。
第三に、デューイは、社会改善と教育、教師の役割、公教育の大衆化、教育の自由の問題なども論じた。デューイの教育論に対して、実用主義、経験主義などという批判がされているが、学校教育と生活、教育と民主主義との関係に照明を与えたデューイの業績が高い評価に値する。特に第二次世界大戦後の日本の新教育に与えた彼の教育論の影響は甚大である。
参考:『西洋教育思想小史』晃洋書房