食の変化

出典: Jinkawiki

2009年1月8日 (木) 11:14 の版; 最新版を表示
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「食」をめぐる状況が変化し、その影響が顕在化している。例えば「食」に関係して、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向、食の安全、食の海外への依存、伝統的食文化の危機、等の問題が生じている。  今日に至るまで、社会経済構造等が大きく変化していくにあたって、国民のライフスタイルや価値観・ニーズが高度化・多様化し、これに伴い食生活やこれを取り巻く環境が変わってきた。また、日々忙しい生活を送る中、食に対する意識、食への感謝の念や理解が薄れ、毎日の「食」の大切さに対する意識が希薄になってきている。生活のリズムとしての規則正しい食事、栄養面でのバランスのとれた食事、安全面へ配慮した食事、食べ残しや食品の廃棄という状況を改善することへ配慮した食事、あるいは家族が食卓を囲んだ楽しい食事、等の望ましい姿の「健全な食生活」が失われつつある。子どもたちが健全な食生活を実践することは、健康で豊かな人間性を育んでいく基礎となることはもちろんのこと、今後とも、日本が活力と魅力にあふれた国として発展し続けていく上でも大切である。また、急速な増加を続ける高齢者が生きいきと生活していく上でも、健康に過ごせる期間を長くすることが重要であり、健全な食生活等を心がけることが重要となっている。  近年、「外食」あるいは調理済み食品やそう菜、弁当等の「中食」を利用する傾向が増大している。単独世帯の増加、女性雇用者の増加等社会情勢の変化の中で、調理や食事を家の外に依存する食の外部化が進展し、簡便化志向が高まった。食を通じたコミュニケーションは、食の楽しさを実感させ、人々に精神的な豊かさをもたらすと考えられることから、楽しく食卓の機会をもつように心がけることは重要だが、最近では生活時間の多様化、「単独世帯」の増加等とも相まって、家族等と楽しく食卓を囲む機会が少なくなりつつある。  昭和50年代半ばには、米を中心とした水産物、畜産物、野菜等の多様な副食から構成され栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実現していたが、近年、脂質の過剰摂取や野菜の摂取不足等の栄養の偏りが見られる。野菜の摂取量は、年齢が高いほど多い傾向にあるが、最も摂取量の多い60歳代であっても目標とする野菜の摂取量の350gに達していない。そして不規則な食事も増えてきている。朝食の欠食に代表されるような、いわゆる不規則な食事が、子どもも含めて近年目立つようになってきている。朝食の欠食率については、男女ともに20歳代が最も高く、次いで30歳代となっており、年々増加傾向にある。また、朝食を欠食する子どもは「つかれる」、「いらいらする」等の不定愁訴を感じる割合が高いことや、毎日朝食を食べる子どもほどペーパーテストの得点が高い傾向にあることが明らかになってきている。生活習慣病も増加している。糖尿病については、全人口の1割を超える1,620万人が「強く疑われる」と「可能性が否定できない」に当てはまる。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が「強く疑われる」と「予備群と考えられる」を併せた割合は、40~74歳の場合、男性の約2人に1人、女性の約5人に1人にあたる。食の海外への依存問題もあげられる。日本の食料自給率は世界の先進国の中で最低の水準であり、食を大きく海外に依存している。日本のカロリーベースの食料自給率は、近年では40%で推移しているものの、長期的には食料自給率の低下傾向が続いている。


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