スウェーデンの環境教育
出典: Jinkawiki
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≪歴史≫
・1960年代頃から北欧諸国では酸性雨が深刻な問題となり、美しい森は枯れ、湖は魚の住めない死の湖となっていった。特にスウェーデンは、酸性沈着物による自然生態系への被害がはじめて記録された国である。67年に環境保護庁を設置し、翌年には学校教育において本格的に環境教育が開始された。
・1970年の総合制義務教育学校の実施以来、「環境に関する学習」をひとつの教科として位置づけ、1~4年生に教えていた。このように、教育の分野で「環境」という概念が確立した。ここで言う環境とは、人間と自然の関係を指し、スウェーデンで環境教育と言えば、人間が自然にどのような影響を与えるかを教えることを意味する。さらに、72年国連人間環境会議が首都ストックホルム市で開催されたことをきっかけとし、環境教育が一層推進されることになった。
・86年はチェルノブイリ原発事故による被害を経験したこともあり、スウェーデンでは今、環境問題の解決に向けて環境教育が積極的に進められている。
・93年には学校法が改正され、義務教育の科目の中で環境教育が行われることになった。翌年、国の定める教育課程の中で、すべての科目に環境教育がどのように扱われるかが明記され、今でも具体的・実践的に行われている。
≪具体例≫
・幼稚園から環境教育をしているところもある。スウェーデンでは「Holistic Life Cycle」という環境ポリシーがあり、日常で自分たちが必要なものがどこから来て、どうやって来て、どこにかえるのか、循環を肌で学ばせる。例えば、園児たちのおやつにはスナック菓子ではなく、果物が出て、果物の皮や芯は捨てずに園庭にある鶏小屋に運んで、鶏のエサとなることを見せる。鶏の糞は植物の肥料として活用する。植物からは人間に必要な酸素が大気に放散される、という循環。
・多くの学校では環境を守るために、みみずに生ゴミを食べさせ、ゴミを削減する「ミミズコンポスト」がある。生ゴミを無臭で、小さなスペースで、電気を使わず、安く、早く処理し、非常に栄養価の高い肥料を作ることができる。身近にあることで、自然や循環への知識が自然と身に付く。
≪日本の環境教育との違い≫
・環境問題が起きてから、環境教育へ取り組むのが素早かった。
・幼稚園から取り組んでいることが多く、子どもが小さい頃から環境について考え、実践する機会が多い。
・内容が日本は環境保護がメインに対して、スウェーデンは人間と自然に関する循環がメイン。
⇒普段の生活から自然や環境を意識している傾向にある。