シュタイナー教育2

出典: Jinkawiki

2009年1月24日 (土) 09:45 の版; 最新版を表示
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目次

ルドルフ・シュタイナー

ルドルフ・シュタイナーは1861年、当時はオーストリア帝国(後、オーストリア・ハンガリー帝国)の一部で、現在はクロアチアにあるクラリエベックで、慎ましい暮らし向きの家庭に生まれた。シュタイナーはウィーン工科大学を卒業後、北ドイツにあるロストック大学から哲学博士号を授与された。シュタイナーは1919年までにジャーナリスト、教育家、科学者、芸術家、建築家として国際的な名声を博していた。またシュタイナーは「人智学協会」(人間と世界を近代の精神科学によって理解しようとする組織)の創設者でもある。シュタイナーは、精神・文化の再生、哲学、医学、農業、教育などの各分野への貢献によって、現代における主要な思想家の一人と見なされている。

シュタイナー学校の起源

 第一次世界大戦の終結から1年後の1919年、当時まだ中央ヨーロッパが革命の恐怖に脅え、経済が荒廃し政治が分裂、社会が崩壊していくという状況の中で、シュタイナー学校は創設された。その始まりは、企業家で、ヴァルドルフ・アストリア煙草工場の社長であるエミール・モルトが、自分の工場の労働者のための学校づくりが可能かどうかをシュタイナーに相談したことであった。

 シュタイナー学校は、個々人が調和のとれた健康な人間であるばかりでなく、社会に対しても有意義で責任ある貢献ができる人間となるよう導く教育を創出したいという情熱的な要請に基づいて創設された。

シュタイナー学校の特徴

担任

シュタイナー学校では1年生から8年生まで、クラス替えもなく、担任も持ち上がり制で同じ担任が受け持つ。


教科書

 シュタイナー教育では教科書を使用しない。エポックノートといわれるノートが子どもたち一人ひとりに与えられ、授業で勉強したことをそのノートに書き込んでいき、最終的にそれが手作りの教科書になる。

 エポックノートは表紙も自分でつくり、決まったかたちがあるわけではなく、子どもたちそれぞれが好きなように書いていく。そのため同じエポックノートは存在しない。エポックノートをつくることによって、まったくオリジナルの自分の教科書ができあがっていくのである。


テスト・通信簿

シュタイナー学校にはテストというものがない。子どもたちに対して点数をつけるということがない。休暇前の年度末が近付くと、一年間で子どもたちに教えたことすべてを、うまく要約して再び子どもたちに伝える。テストがないため通信簿にも点数はつかない。通信簿は学年の終わりに一度もらい、その内容は、教科ごとに先生の評価が言葉で手書きされている。先生から見たその子の人物描写や勉強面の観察などが書かれる。

シュタイナー学校の授業

エポック授業

シュタイナー学校の主要授業は、通常の学校のように1時間目は国語、2時間目は算数、・・・のような時間割になっていない。子どもたちは内容によって、4週間から6週間、朝の最初の2時間、授業を受ける。この2つの授業の間には休憩を入れることができ、低学年では休憩を入れなければならない。例えば4週間から6週間、国語を学ぶ。その間、他の科目は全く行わない。その4週間、6週間が過ぎると別の勉強が始まる。その勉強もそれに適した期間続く。普通の時間割のように、別の科目によって中断されない。


外国語

主要授業の後、午前中に任意の対象を選ぶ。現在では外国語が大きな役割を果たしており、外国語は本当に実際的に子どもたちの生活の中で馴染んでいくべきものであるため、入学した時から学ぶ。外国語に精通できるように教え、外国語の学習において母国語による仲介は避けられる。


フォルメン

フォルメンは国語の授業の時でも、算数の授業の時でも行われる。フォルメンとは、ものの形を理解したり、また神経を集中させたり、ほぐしたりするために用いられる。フォルメンではいろいろな形の図形(渦巻きや波形など)を、色を使いながら、すべてフリーハンドで描く。描く図形も学年が上がるにつれて複雑になっていく。


オイリュトミー

オイリュトミーは身体を使っていろいろなことを表現する。例えば、みんなで円をつくってみると、きれいな円になるように一人ひとりが知らず知らずのうちに自然に立ち位置を修正していく。これにより、子どもたちは協調性や責任感を身につけていく。

シュタイナー教育の人間観

七年期

 ・第1七年期:0歳~7歳。意志力・行動力を生み出す。

 ・第2七年期:7歳~14歳。豊かな感情を持つ。

 ・第3七年期:14歳~21歳。思考力・知力・判断力をつくり出す。


4つの構成体

 ・物質体:「体」そのもの。<誕生した時>

 ・生命体:引力に逆らう力(体を動かす力)。成長や繁殖をつかさどる力。<乳歯が生えかわる頃>

 ・感情体:「感情」(喜怒哀楽、快・不快)。<思春期>

 ・自我:「私」という意識を持つこと(考える、言葉を話すなど)。<自立し始めた頃>


4つの気質  ・胆汁質:どっしりしたたくましい体つき・指導者となる素質を持つ・容易に自分の意見をまげない

 ・多血質:血色の良い顔色・粘り強さはあまりない・物事を観察し、利己主義的にはならない

 ・粘液質:多血質に欠けているすべてのものを持ち、多血質が持つすべてのものを持たない・見聞きしたものを頭の中で                考えめぐらす

 ・憂鬱質:内的な活動と外的な活動がともに不活発・胆汁質の対極

参考

ルドルフ・シュタイナー 著 西川隆範 訳 「教育の方法」 アルテ

クリストファー・クラウダー/マーティン・ローソン 遠藤孝夫 訳 「シュタイナー教育」 イザラ書房

A・C・ハーウッド 中村正明 訳 「シュタイナー教育と子供」 青土社

http://steiner.blume4.net/


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