読字障害

出典: Jinkawiki

2009年1月29日 (木) 03:04 の版; 最新版を表示
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目次

大要

読字障害(ディスレクシア)は、学習障害(LD)の一種として知られている。学習障害に見られる基本的な学力困難領域である、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった能力のうち、特に読みの困難を特徴とする典型的な例であり、代表的な類型である。話し言葉に対し、文字や記号等といった書き言葉に関する困難であることから読字障害と言っている。また、これら読みの障害は書きの困難を伴うことが多い。これらのことからも読字障害を、読み書き障害と称することもある。これらの症状を持つ事例は古くから知られ、ディスレクシア(dyslexia)とも呼ぶ。成人になり、脳の障害や病変から読めなくなる症状を失読症(alexia)といい、また難読症という訳語もある。さらに、発達期に起こる場合には発達性という言葉をつけ発達性読み書き障害等と呼び、一度獲得された能力が何らかの原因によって損なわれる場合と区別する言い方もある。

主な特徴

読字障害(ディスレクシア)の人には、書かれた文字を上手く読むことができない、読めても意味が分からないなどの症状が現われる。こうした症状は、アルファベットを用いる言語に比べると仮名文字は障害を生じにくいと言われているが、日本では漢字の読み書きに特に困難を生じる。具体的な症状としては、読みに関して読字障害の人は文字をよく混合したり(bとd、pとbなど)、単語を逆から読んだりしてしまう(catをtacなど)。また文中の簡単な単語を抜かして読んでしまうことがある。最も根強い先入観の一つに、読字障害の子供は文字や単語を逆さに見るため、逆さ文字(字や単語を逆さに書くこと)こそが徴候であるというものがある。しかし彼らが単語を正しく読むのが苦手だというのは本当であるが、実際にそれらを逆さに見ているかどうかは証明されていないというのである。これに関連した調査では、読字障害の子は文字を書き写すことに問題があるのではなく、単語を発音することに問題があることが分かっている。また、読字障害と鏡文字を結びつけるものにも偏見がある。実際には、字を逆さから書いたり、鏡文字を書くのは、文字や単語を習い始めの段階では普通のことで、読字障害とは関係がないのである。読字障害は読むことに限定された困難であり、思考能力とは関係がない。そのため、話し言葉は非常に高いレベルで理解出来たり、他の論理的な能力にも影響はないとされる。つまりこれは局所的な障害なのである。

原因について

読字障害の原因としては、脳の言語能力、特に読字に関する部位に限られた脳奇形説、左大脳機能障害説、眼球運動障害説や男性ホルモン説などさまざまにある。それらが、何らかの読みの認知処理に支障をきたす結果と推測される。読みの認知処理としては、視覚処理や語の想起、文脈処理や短期記憶、読みと聞き取りに共通する理解力といったものが関わると言われるが、読字障害は大きく2つに分けてこうした読みの処理に関しての問題を考えることが出来る。その一つが、視覚の処理問題(文字を習得する段階で影響し、形態の認知処理が弱いと文字や記号を識別するのが遅くなってしまい、読みの誤りも多くなる。これには視覚機能トレーニングが有効とされる)で、二つ目が、言語の処理問題(単語を音節や音素に分解したり、文字と音との連合が上手く出来なかったりする)である。

読字障害への理解

このような読字障害について重要なことは、こうした障害が子供に現われるとどうなるのか、その実態について、周りがなるべく早く認識していることであるといえる。それによって時間を無駄にしないですむし、子供自身が苦しむことが少なくなる。字が読めなくてまわりについていけない。そういったことが起こると、頭が悪いからだとか、怠けているからだと片付けられてしまうといったこともあり、そのために体系的な指導が用意されるわけではない。いくらか知識をもって子供の状況を注意深く分析すれば、原因が言葉や文字を視覚的に記憶できないところにあるということが分かってくる。つまり、脳のある部分に先天的な障害を抱えているけど、その障害は時間をかけて辛抱強く治療していけば、いずれは改善されることが多いということを正しく認識することがとても重要となる。そしてそうした認識が早いほど改善される確率も高くなる。


参考文献

読み書き障害(ディスレクシア)のすべて  PHP研究所

特別支援教育 基本用語  明治図書

ディスレクシアの素顔  論創社

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A2


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