タージ・マハル
出典: Jinkawiki
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Taj Mahal. インドのムガル帝国のシャー・ジャハーン帝(ムガル帝国第5代皇帝。在位1628‐58)が造成した愛妃の墓廟。北インドのアーグラー市にあり、その名称は妃の称号「ムムターズ・マハル」に由来すると考えられている。妃の本名はアルジュマンド・バーヌー・ベーガム。称号の「ムムターズ・マハル」とはペルシャ語で「宮殿の光」「宮廷の選ばれし者」を意味する。「タージ・マハル」を言葉通りに訳すと「王冠宮殿」もしくは「宮殿の王冠」という意味になる。 タージ・マハルは、帝が妃の死を悲しんで1632年に着工、ペルシャやアラブ、ヨーロッパなど、世界各地から2万人もの名匠を集め、巨費を投じて1653年に完成させたものである。ここのは、のちに皇帝自身も葬られた。
広大な庭園の北辺に白大理石造りの廟堂がヤムナー川を背にして立つ。墓廟の四隅にミナレット(光塔とも。モスク、マドラサ(学院)などに付随する尖塔。礼拝への呼びかけ(アザーン)をする施設)が建ち、中央の大ドームは高さ58mを誇る。ドームの下の広間の地下には墓室が置かれている。諸国産の貴石を壁面に象眼(細工)し、透かし彫り、浮き彫りなどの繊細な装飾が施され、均整・優美なインド・イスラーム建築の傑作である。
1983年に世界遺産登録基準における「(1)人類の創造的才能を表現する傑作」の基準を満たしたとみなされ、世界文化遺産に登録されたが、近年、大気汚染による損傷が問題となってきている。排ガスによる直接的な汚れの他、酸性雨による大理石の溶解などが報告されており、また、地下水の過度な汲み上げによる地盤沈下も問題となっている。4本のミナレットが外側に傾きつつあるという報告もある。開発による世界遺産への悪影響の一例である。
アミーナ・オカダ、M.C.ジョシ 1994 タージ・マハル 岩波書店
ユネスコ世界遺産センター 1996 ユネスコ世界遺産 講談社