西南戦争

出典: Jinkawiki

2009年1月29日 (木) 15:16 の版; 最新版を表示
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目次

背景

西南戦争の背景には士族の強烈な反政府風潮があった。廃藩置県後、近代化を急ぐ政府は、秩禄処分、徴兵制、廃刀令など領主制解体の政策を強行したので、士族の地位と生活が激変し、彼らは封建的特権を奪われて大量に没落した。しかも、維新の功績に慢心した政府高官は、専制的傾向を帯び、腐敗状況も現れたので、士族の反政府気分は高まった。

1873年の朝鮮使節派遣をめぐる政府分裂(いわゆる明治六年の政変)で西郷隆盛、板垣退助らが下野すると、これに続いて鹿児島や高知出身の近衛兵多数が辞職、帰郷し、反政府士族グループの核となった。鹿児島県では、桐野利秋、篠原国幹、村田新八らが私学校を組織し、士族の教育、共済にあたった。県令大山綱良(旧薩摩藩士)は、私学校派士族と結び、彼らを県政の要職に任命し、政府の集権政策に抗して独自の経済・社会政策を進めたので、鹿児島県は政府に敵対的な独立国の観を呈した。また、士族の反政府風潮を背景に、74年以来、憲法制定、国会開設を求める自由民権運動が高まり、板垣ら土佐立志社士族がその中心となった。これに対し、政府の大久保利通や伊藤博文は、75年の大阪会議で板垣らの入閣を図り西郷派を孤立させようとした。

1876年に入ると、反政府状況はいっそう深刻になった。地租改正に不満を抱く農民は、茨城、三重、愛知、岐阜、堺(現在の大阪府の一部および奈良県)などの各県で大一揆を起こし、政府に衝撃を与えた。他面、熊本(神風連)、福岡県秋月、山口県萩(前原一誠)など各地の士族は相次いで反乱を起こしたが、彼らは西郷の決起を期待していた。西郷は、好むと好まざるとにかかわらず、士族の反政府運動のシンボル視されるに至った。このような難局に直面して、政府は鹿児島士族を反政府の拠点とみなし、その掃滅を図って、密偵派遣など内部破壊工作を試みた。

戦争が起こった原因

鹿児島に退隠した西郷は、自適の生活に終始し、各地の士族反乱にも呼応せず自重していた。しかし、政府と鹿児島士族間の緊張が激化すると、彼は、その本意に反して鹿児島士族の反政府運動の先頭に推し挙げられた。1877年1月、政府は、鹿児島草牟田陸軍火薬局の火薬が私学校派の手に渡るのを警戒し、県庁にも連絡せずにひそかに搬出を試みた。このことは私学校派を強く刺激し、同月30日夜以後、彼らの一部が、陸軍火薬局ならびに磯海軍造船所付属火薬庫を襲って弾薬を奪った。ここに、政府の挑発的な密偵派遣と相まって、私学校派の怒りは爆発、いまや西郷もこの勢いを抑えることはできなかった。2月15日、1万3000の鹿児島士族は、政府密偵の中原尚雄少警部らが帰郷して西郷暗殺を企てた件の尋問を理由に、西郷を擁して武装上京に立ち上がった。九州各地の反政府士族も呼応決起した。彼ら鹿児島以外から参戦したものを党薩(とうさつ)諸隊という。そのなかには、民権派の平川唯一、宮崎八郎(熊本)や増田宋太郎(中津)らのグループもいた。西南戦争は武力による自由民権運動の側面を帯びていたといってもよい。

西郷軍は、2月22日、熊本城にある熊本鎮台を強襲したが、司令長官谷干城以下の守兵は懸命に防御したので、西郷軍は包囲作戦に転じた。政府は2月19日、有栖川宮熾仁(ありすがわのみやたるひと)親王を征討総督に、陸軍中将山県有朋、海軍中将川村純義を参軍に任命し、征討軍団を派遣した。当初政府首脳は、反乱軍に西郷が参加しているかどうか疑っていたが、西郷の従軍が明らかになったので、2月25日、西郷の官位を取り消した。

戦争の状況

装備と人員に勝る政府軍は、4月15日、激戦のすえ熊本城の包囲を解くのに成功し、以後攻勢に移った。守勢に回った西郷軍は、日向(ひゅうが)地方に転じて再起を図ったが、6月1日、7月24日都城、同31日宮崎、佐土原を失い、長井村に追い詰められて解散し、一部が西郷を擁して政府軍の包囲を脱出、鹿児島に帰って城山に籠った。9月24日城山も陥落、西郷以下、桐野、村田、池上四郎、辺見十郎太、別府晋介らが枕を並べて討ち死にし、半年に及ぶ戦闘は終結した。西郷軍の総兵力は3万余、うち1万3000は私学校派、1万は中途よりの徴募兵、残り1万は党薩諸隊であり、戦死6000前後、戦後斬罪22を含んで2760余が処罰された。政府軍の総兵力は5万8600、艦船19隻、戦死6800余であった。

結果

西南戦争は、最大かつ最後の士族反乱であった。政府はこの反乱を乗り切って権力的基礎を確立した。他面、自由民権運動は武力闘争にかえて、組織と言論を通じて民衆に働きかける方向に転じた。また、巨額の西南戦費支出はインフレを引き起こし、日本資本主義の原始的蓄積を推し進めた側面も見落としてはならないだろう。

参考文献

1、日本史小辞典  山川出版社

2、日本史B用語集  山川出版社

3、開国と幕末の動乱 吉川弘文館

4、日本史の全貌  青春出版社

5、ウィキペディア百科事典 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8


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