ハンムラビ法典

出典: Jinkawiki

2009年1月30日 (金) 13:30 の版; 最新版を表示
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ハンムラビ法典は、世界中で完全な形で残る2番目に古い法典である(世界最古の法典はウル・ナンム法典)。「前書き・本文・後書き」の3部構成となっていて、前書きにはハンムラビの業績が記されており、本文は慣習法を表した282条からなり、13条及び66~99条がなくなっている。後書きにはハンムラビの願いが記されている。このハンムラビ法典は後になって石柱に書き写され、以後の楔形文字の基本となった。この法典で一番有名な言葉に「目には目を、歯には歯を」との記述がある。ハンムラビ法典196・197条にあるとされる195条に子がその父を打ったときは、その手を切られる、205条に奴隷が自由民の頬をなぐれば耳を切り取られる といった条項もあり、「目には目を」が成立するのはあくまで対等な身分同士の者だけであった。つまり、下の身分の者が、上の身分の者に対し 何らかの危害を加えてしまうと、何倍も厳しい刑が執行されてしまうということである。

しかし、ここまで厳しい刑罰を書き記しているにもかかわらず、ハンムラビ法典の趣旨は犯罪に対して厳罰を加えることを主な目的にしてはいない。古代バビロニアは多民族国家であり、当時の世界で最も進んだ文明国家であった。多様な人種が共存する社会を維持するにあたって司法制度は絶対的に必要なものであり、基本的に、「何が犯罪行為であるかを明らかにして、その行為に対して刑罰を加える」のは現代の司法制度と同様で、刑罰の軽重を理由として一概に悪法と決めつけることはできない。ハンムラビ法典の内容を精査すると奴隷階級であっても一定の権利を認め、条件によっては奴隷解放を認める条文が存在し、女性の権利(女性の側から離婚する権利や夫と死別した寡婦を擁護する条文)が含まれている。現代では、「やられたらやりかえせ」の意味で使われたり、復讐を認める野蛮な規定の典型と解されることが一般的であるが、「倍返しのような過剰な報復を禁じ、同等の懲罰にとどめて報復合戦の拡大を防ぐ」すなわち予め犯罪に対応する刑罰の限界を定めること(罪刑法定主義)がこの条文の本来の趣旨であり、刑法学においても近代刑法への歴史的に重要な規定とされている。

しかし、近代の法とは比べ物にならないほどの厳しい法であった。 たとえば、ハンムラビ法典には次のようなことが書かれている。 ◎人が他人を殺人の罪で告発し、それを立証できなかった場合、彼は殺されるべし。 ◎人が他人を呪術の罪で告発し、それを立証できなかった場合、その告発者は川に飛び込むべし。もし彼が川に飲み込まれたなら、彼を起訴した者が彼の財産を継ぐべし。もし、彼が無事に川から生還したのなら、彼を呪術の罪で告発した者は殺されるべし。川に飛び込んだ者は、起訴した者の財産を継ぐことができる。 ◎神殿あるいは王宮の財産を盗んだ者は殺されるべし。また、彼の手から盗品を受け取った者も殺されるべし。







参考資料:http://www.weblio.jp/content/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%93%E6%B3%95%E5%85%B8     :http://www.aa.alpha-net.ne.jp/t2366/index.htm


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