フランクリン=ローズヴェルト2

出典: Jinkawiki

2009年1月30日 (金) 14:05 の版; 最新版を表示
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フランクリン・ローズヴェルト(Franklin Delano Roosevelt)は、第32代アメリカ大統領である。在任期間中に現代アメリカの政治経済システムを築いた。また、国際連合を創設して、戦後の国際的秩序の基礎を固めた。

目次

誕生から大統領になるまで

ニューヨーク州ハイドパークの旧家に生まれ、家庭で教育を受け、ヨーロッパで毎年数か月過ごす恵まれた環境に育った後、グロートン校を経てハーバード大学を卒業、コロンビア大学ロースクールへ進んだ。1905年縁戚のエレノア(シオドア・ローズヴェルトの姪)と結婚した。 1910年に29歳の若さで民主党から立候補、ニューヨーク州上院議員に当選し、革新派として民主党のボス政治機関(タマニーホール)と闘った。ウッドロー・ウィルソンの大統領選に貢献し、海軍次官に任命された。1920年には民主党の副大統領候補に選出されたが落選、1921年8月に小児麻痺にかかり下肢の自由を失った。

妻エレノアの助けを得て、療養生活の間も政治活動を続け、1929年にニューヨーク州知事に当選した。同年10月29日の株の大暴落をきっかけに始まった大不況では、それまでの穏健な革新主義から転じ、政府による積極的な救済策を打ち出し、ラジオを使って直接州民に語りかけた。再選は圧倒的勝利だった。 余勢をかって1932年の民主党の大統領候補に指名された。選挙では「アメリカ人民のためのニューディール」を訴えて、共和党の現職大統領ハーバード・フーヴァーを大差で破った。

改革と第二次世界大戦

翌年3月に就任すると、「恐れるべきは恐怖だけである」と改革の必要性を力強く訴え、従来の不況対策(政府支出の削減と増税と均衡予算によるデフレ政策)を斥け、ブレーントラストと呼ばれる学者集団の助言を得て、大統領の強力な指導のもとに、経済の救済、復興、改革を図った。おもな政策は、銀行の整理と通貨統制による金融立て直し、農業調整法などによる農民救済、全校産業復興法の制定による労働者の団結権・団体交渉権の確認と土木工事による失業者救済、社会保障法の実現、TVAの設立であった。これらの政策は、目前の必要に応じた改革であったが、結果的に、景気の動向に対しても政府が責任を持つことになり、資本主義経済はこれまでの自由放任からの積極的な指導介入を受けることになった。連邦政府が国民生活全般の複利に一定の責任を負うという現在の社会・経済政策の基礎となった。1933年にはソ連を承認し、米ソ貿易の拡大を図った。 2期目に入ると、ニューディールの主要政策に違憲判決が下され、改革は停滞し、さらに1937年には景気が悪化し始めていた。そのころにヨーロッパ、アフリカ、アジアにはドイツ、イタリアと日本の侵攻によって戦雲が広がり始めていた。ローズヴェルトは、37年10月5日、集団安全保障の考えを「隔離演説」で示したが、世論の強い孤立主義の前に、中立主義を継続せざるを得なかった。 しかし1939年にヨーロッパで第二次世界大戦が勃発すると、連合国側を支持し、軍備を増強し、ラテンアメリカを経済的軍事的にアメリカの同盟下に結束させた。40年11月に3選を果たした後、12月29日にアメリカを「民主主義の兵器庫」にすると宣言し、翌年の年頭教書で「四つの自由」を発表し、ファシズムとの対決姿勢を明確にした。さらに同年8月14日には、イギリス首相のチャーチルとともに大西洋憲章を発表した。 日本の真珠湾攻撃でアメリカが参戦すると、連合国側の指導者としてチャーチルやスターリンとともに戦後処理と恒久的な政界平和構想をまとめ、今日の国際連合の基礎を築いた。 こののち、4選を果たしたが、4月12日に脳溢血で死去した。

ローズヴェルトの賞賛と批判

ローズヴェルトは、問題に柔軟に対処して具体的な解決策を探るという政治姿勢から、狡猾な政治家(きつね)にたとえられることもあるが、大不況と政界大戦を乗り切り、アメリカを超大国にし、戦後の世界秩序を構築した偉大な政治家(ライオン)とも讃えられている。 しかし、第二次世界大戦中は、世論の日系人に対する人種偏見に適切な指導を与えず、11万2000人の日系人を内陸部の砂漠や沼地に強制立ち退き・収容する政策を承認し、さらに彼らの西海岸への帰還を大統領選挙のために遅らせるなど、アメリカ史上でも類をみない大規模な市民権の侵害を侵している。

参考文献

アメリカ史重要人物101 猿谷要/編 新書館


  人間科学大事典

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