氏姓制度
出典: Jinkawiki
氏姓制度とは古代日本で栄えた大和政権で成立した政治組織である。 5世紀頃から大和政権は、かつての小国家の首長たちを服従させ、彼らを政治の役人に組織し、その職務分担によって、政権内部での統合と階層化を進めた。氏姓制度が完成したのは、6世紀頃と推測される。大和政権はかつての小国家の首長を統制して、「氏」という支配者集団を作りあげた。そして「氏」が大和政権の中に組み入れられたことを示すために「姓」を与えた。
氏は、氏上と呼ばれる首長を中心に、氏人と呼ばれる多数の同族で集団を形成する、血縁で結ばれた同族集団である。氏はその共有財産として、非血縁の*部曲(かきべ)や*奴(やっこ)などの隷属農民を所有していた。
姓は初めは家柄や出身地・職業を示すものであったが、氏の社会的地位が固定化し、世襲されるようになって、しだいに制度化し、公的なものになった。 姓の種類には、敬称的な性格の臣・連・君・首・直や、職業的性格の造・使主・忌寸・史・村主などがあった。 なかでも臣・連は有力な豪族に与えられ、大臣・大連と呼ばれた。
大化改新によって、氏姓制度は、変革される。臣・連・供造・国造を律令国家の官僚に再編し、部民を公民として一律に国家に帰属させた。670年の「庚午年籍」、690年の「庚寅年籍」によってすべて戸籍に登録されるようになり、部姓を主とする氏姓制度が完成する。しかしこの時においても、依然として無姓のものや、氏姓が記入できないものがたくさんいた。
- 部曲(かきべ)・・・氏に所有され、独立の家庭生活を営みながら、集団をなし、氏に貢納・労働の義務を負う。
- 奴(やっこ)・・・氏上や氏人の家々に隷属して、その家の耕作などの労働に従事する奴隷である。
引用文献
下中弘(編) 1992 日本史大辞典 平凡社 安田元久・鳥海靖 1994 基礎からわかる日本史B 旺文社