バス通学

出典: Jinkawiki

ブラウン判決

　1951年、カンザス州のオリバー・ブラウンという黒人男性の自宅近くにある学校が白人専用であったため、娘をバスで遠くの黒人学校へと通わせなければならないのは不当であるという訴えから始まった裁判で、これを「ブラウン裁判」という。しかしこの裁判は、白人・黒人という人種分離の根本を問題としたため、簡単に決着がつかず最高裁へと持ち越された。そして1954年、アメリカ合衆国連邦最高裁判所において、それまで人種別隔離されていた政策を「我々は、公共教育の場における“分離すれども平等”の原則は成立しないものと結論する。教育施設を分離させる別学自体が本質的に不平等だからである」と憲法上認めない判決が満場一致で下された。この裁判は人種統合と公民権運動へと導く礎となる。

バス通学導入

　 しかしブラウン判決後も、郊外化が進む中で白人は郊外に、黒人はダウンタウンへと住む場所が分かれてしまい、学校における人種の偏りは改善されないままであった。そこで人種問題の解消を目的として1971年、最高裁が「強制バス通学」を合憲した。白人とマイノリティーの割合が一定になるように、黒人を郊外へ白人を都市部へ通学させるために、多くの子どもたちが自宅から遠く離れた学校へ通うことを余儀なくされた。1970年代から無料でバス通学が行われたが、保護者の間で人種的に統合された学校の実現のために、新たな対策が求められるようになり多様な教育形態、チャータースクールやホームスクーリングなどの制度ができ、居住形態が変化し1990年代に強制バス通学は終了した。

近年のバス通学

近年では、多様な教育形態を求めて通学距離が長くなったり、犯罪防止や通学の安全性を考慮したりとバス通学が強制されなくなった今もバス通学サービスを利用している生徒も多い。