伝統的工芸品

出典: Jinkawiki

2009年1月31日 (土) 09:48 の版; 最新版を表示
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伝統的工芸品とは「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」で定められたもので、各地域において伝統的な技術・技法を受け継いで、工業的な製品が製造され、将来も存続するような産業を復興することによって、国民の生活に豊かさと潤いを与えることを目的としている。2008年8月現在、経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」は全国に210点目ある。その指定要件は5つある。

1、 主として日常生活で使われるもの

2、 製造過程の主要部分が手作りである

3、 伝統的技術または技法によって製造されている

4、 伝統的に使用されてきた原材料である

5、 一定の地域で産地を形成している

※ ここでの「伝統的」とは100年以上の歴史を意味している。

 以上の要件を満たし、「伝統的工芸品」と指定されたものは、シンボルマークの「伝統マーク(伝統の伝の字と赤丸を組み合わせたもの)」をデザインした「伝統証紙」を貼り、その他の要件を満たさない普及品と区別できる。 伝統的工芸品の特徴として伝統文化財としての「工芸品」ではなく、その伝統的技術を応用した生活雑貨を生産する産業ということが挙げられる。地域の資源、伝統技術、地域文化を反映したものであることから、全国に分布しているものの、江戸時代に城下町であったり文化の中心であった京都・金沢・東京・名古屋などにやや集中している。業種ごとに分けると織物、陶磁器、木工品、漆器が多く、これらは原材料に見られるよう全国的に広がりのある分布形態が見られる。このうち絹織物や漆器は東日本、綿織物や陶磁器は西日本にやや多いといった偏りはある。

【京友禅・京小紋】

 伝統的工芸品の品目数が全国で1番多いとされる京都の京友禅を例として取り上げる。 1、 日常に使用される着物や帯の製造をしている 2、 主要工程が手加工による 3、 江戸時代以前からの技術・技法を伝えている 4、 主原料は絹織物である 5、 京都市および近郊に多くの企業が活躍している 以上、要件を満たすとして昭和51年に指定申請し、伝統的工芸品の指定を受けた。技法として手書き友禅では糸目友禅と堰出友禅および無線友禅の技法によるものだけが指定に定められている。表示ラベルは関係協同組合を通じ、検査を受けて合格したものだけに交付される。型友禅では写し友禅と摺り友禅、堰出友禅が指定されている。伝産法により京友禅京小紋伝統工芸士の資格を取得した人たちが活躍している。


【伝統工芸品の課題と今後】

 後継者不足や原材料の確保難など多くの問題は、高度経済成長、それに伴う生活様式、雇用環境などの変化によるところが大きい。大量生産・大量消費など規格化・標準化された低価格の生活用品が大量に供給・消費されるようになってきた。  伝統的工芸品産業の多くは、比較的事業所数の少ない小規模な産地で、その生産は長い間職人的技術に支えられて産地が維持されてきた。しかし、日本人の生活様式の変化や外国の類似製品との競争によって経営上の困難に直面、さらには産地の存続さえ危ぶまれているところも少なくない。一方、外国に輸出することで産地を維持しようと試みたり、生活様式の変化に合わせて伝統的工芸品もまた変わりつつある。


《引用・参考文献》

東京学芸大学地理学会シリーズ3 日本の諸地域を調べる 上野和彦・高橋日出男

手描友禅の技術と技法 京都市染織試験場 (株)染織と生活社


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