国民総幸福量

出典: Jinkawiki

2009年7月15日 (水) 11:16 の版; 最新版を表示
←前の版 | 次の版→

目次

概要

 国民総幸福量、GNH(Gross National Happiness)国民総幸福量は1976年にブータン国王が提唱した幸福指標であり、1999年にブータン研究センターが設立されているが、まだ研究段階である。GDP(国内総生産)と比較されることが多い。一般的にはお金や経済の成長と幸福度は正の相関があるとされているが、物質的、経済的ではなく、精神的な豊かさ、幸福を求めようとする考え方である。 幸福の感じ方は個人個人で異なるため、数値化は難しいが、宗教、文化的背景、哲学、教育、政治などに基づく一体感や公平感といった幸せを実感できるための共通価値観の構築が求められている。



GNHランキング

 以下、2006年イギリスのレスター大学の社会心理学者エードリアン・ホワイト氏が、全世界約8万人の人々に聞き取り調査を行った各種国際機関(ユネスコ、CIA、WHOなど)の発表済みレポート(100種以上)のデータを分析して行った「GNHランキング」である。(イラクなどの紛争地域を除外した世界178カ国を対象)



<ベスト20>

1位 デンマーク 2位 スイス連邦 3位 オーストリア共和国 4位 アイスランド共和国 5位 バハマ国 6位 フィンランド共和国 7位 スウェーデン王国 8位 ブータン王国 9位 ブルネイ・ダルサラーム国 10位 カナダ 11位 アイルランド 12位 ルクセンブルク大公国 13位 コスタリカ共和国 14位 マルタ共和国 15位 オランダ王国 16位 アンティグア・バーブーダ 17位 マレーシア 18位 ニュージーランド 19位 ノルウェー王国 20位 セーシェル共和国

<20位以下抜粋>

23位 アメリカ 35位 ドイツ 41位 イギリス 62位 フランス 82位 中国 90位 日本 125位 インド

<ワースト3>

176位 コンゴ民主共和国 177位 ジンバブエ共和国 178位 ブルンジ共和国



GNHとブータン

 最初にGNHが提言されたのは、1976 年12 月、ブータンワンチュク国王の「スリランカのコロンボにおける第 5 回非同盟諸国会議に出席後の記者会見で、「 Gross National Happiness is more important than Gross National Product 」と延べ、この時点でGNHはGNPより大切だとしている。また、ブータン国内においてはGNHとHDI(人間開発指数)を同じ類とし、GNP,GDPと対立させる見方をしている。

 その後1998 年の 10 月、韓国ソウルで行われた国連開発計画( UNDP)のアジア太平洋地域会議( Millennium meeting for Asia and the Pacific )での、ジグミ・ティンレイ( Jigmi Y.Thinley )ブータン王国首相のスピーチでGNHが国際的に評価を受けはじめる。「 Gross National Happiness はブータンの開発における最終的な目標である」と述べ、さらには「どうやって物質主義と精神主義とのバランスを維持しつづけるか」 と、GDP中心の先進国の発展性に対して疑問を投げかけている。これは仏教の影響をうけている、ブータンにおける中道の考え方が反映されたものとなっており、経済発展は環境保全や文化的独自性維持と調和が取れていることが目指されている。

 これら二つはGNHの基本的定義となっている。


 また、1999年にブータン政府は政策として4つの指針を打ち出している。

【1】持続可能かつ公正な社会経済学的発展 【2】環境の保全 【3】文化の保護と促進(再生) 【4】良い統治

 これらの成果か、2007年に初めて行われたブータン政府による国政調査では「あなたは今幸せか」という問いに対し9割が「幸福」と回答した。



幸福のパラドクス(paradoxes of happiness)

 幸福のパラドクスは1971年ブリックマンとキャンベルの二人の心理学者の「所得や富といった生活の客観的状況をよくすることは個人の幸福に何も影響していないという結論によるものであるが、日本国内においても平成20年国民生活白書によると、GDPの上昇にともなって生活満足度が下降するといったデータがあり、これらに正の関連性がないことがわかる。

また、この傾向は他先進国においても同じ傾向が見受けられる。また、他にも[ 幸せ = 財 / 欲望 ]といった方式もある。この分子を大きくして幸せになるのが欧米式、分母を小さくするのが仏教式といわれ、GDPやGNHといった考え方の相違はこういったもともとの宗教的文化に由来すると考えられる。



参考文献

「美しい国ブータン」平山修一 リヨン社

「地球を救う経済学-仏教からの教え」井上信一 すずき出版、1994

「現代ブータンを知るための60章」平山修一 明石書店

平成20年国民生活白書

http://eco.nikkei.co.jp/column/edahiro_junko/article.aspx?id=MMECc3010011092007

http://www.neweconomics.org/gen/z_sys_publicationdetail.aspx?pid=225

http://www.happyplanetindex.org/index.htm

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%B7%8F%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E9%87%8F

http://ja.wikipedia.org/wiki/GDH   http://woman.excite.co.jp/lifeplanning/news/rid_1841/

http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10159608613.html


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成