人種差別

出典: Jinkawiki

2009年7月29日 (水) 12:18 の版; 最新版を表示
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目次

人種差別の概要

人が自らとは異なる人種に対して形質的差異をもって差別すること。一般に白人、黒人、アジア人など、肌の色や顔立ちについての伝統的な人種観念に基づく差別をさすことが多い。対して言語や文化・宗教などの民族による差異に対する差別は民族差別と呼称される。


科学的に有効とはいえない概念としての「人種」

 人間の生物学上の類別的概念としては、ブルーメンバッハ(1795)が主張した、人種の最初の分類の中にすでに人種間の優劣についての言及がある。これ以降、「人種は生物学的概念であり、民族は文化的概念である」という誤った考え方が定着していった。人種が生物学的区分であると考えられた理由は、人種を生物学的な形質から大まかに区分することができるという仮説にもとづいていたり、人間の「自然な集団」というものがあると前提とする考えかたからでてきた。前者の仮説は、形質の区分はつねに恣意的であり客観的な線引きは、生物学上はできないことで否定された。後者の前提は、生物種(species)としても亜種(subspecies)としても「自然な集団」としての人間を生物学的に区分できないことで否定された。ユネスコは人種に関する2つの宣言(1950,1951)をおこない、人種概念がそれにもとづく差別に乱用されないような説明をおこなったが、これすらも今日では古典的な人種概念の残滓がみられると自然人類学者の中には批判する者もいる。

否定的な意味で想起される必要のある用語

 人種概念は、つねに人種差別思想とセットになって一世紀半以上も西洋思潮を支配し続けたため、人種概念が科学的に無意味であることを認識しても、人種差別思想はすぐには消滅することはない。おまけに、人種差別思想を廃絶することを目的に運動を展開した人類学者の間には「人種は生物学的区分であり、民族は文化的区分」という前提にもとづいて「人種間の優劣は存在しない」という主張をおこなったために、人種=生物学的な人間の類別的概念という考え方が長いあいだに定着してしまった。そのため、人種概念の相対化するために、人種差別思想と分けることのできない人種概念(科学史における人種概念)が、どのように歴史的に社会的に構築されてきたのかという研究が進んできている。もっともこの種の研究は、今日的では科学的に誤った概念の使い方を探し出し、その論理構築の誤りを指摘するという、科学史における勝利者史観とよばれる結論の論点先取的議論になりがちである。また、異種混交肯定の立場から反人種論について議論する際には、なぜそれがつねにマイナー位置しかとり得なかったのかという考察や証明が不可欠である。


人種差別の歴史

西欧人に対する人種差別

古代ローマ帝国が地中海沿岸を支配していた時代、ガリアに住む金髪碧眼の人々は蛮族と見なされていた。また、イスラム圏でも金髪碧眼は差別の対象だった。十字軍の時代においても西欧人はビザンツ帝国の人々やイスラム圏の人々から蛮族として見なされていた。

西欧人と人種差別

大航海時代以後の西欧人は近代的な軍隊により世界の大半を侵略、植民地化し、植民地支配を正当化するため西欧人の優勢が主張され「優等人種である が、劣等人種である非白人に文明を与えるのは義務である」とされた。この優位性は、「白人こそが最も進化した人類である」という価値観さえ生む結果となった。

黒人と人種差別

サハラ砂漠以南に住む黒人は古くからアラブ人やペルシア人の奴隷として扱われており、人種差別の対象であった。アッバース朝時代には大規模な黒人奴隷の反乱が起きている。 大航海時代以降はヨーロッパ人が黒人を奴隷として使役した。奴隷市では商品として売買された。彼ら黒人奴隷は人格を否定され、家畜と同様の扱いであった。軽い家内労働に従事できる者や奴隷身分から解放される者はごく少数だった。こうしたヨーロッパ人による奴隷制度は、1888年にブラジルが奴隷制度を廃止するまで続いた。

アメリカ大陸先住民と人種差別

ヨーロッパ人は、アメリカ・インディアンやマヤ、アステカなどの征服地、植民地支配における先住民を差別し、虐待・大量虐殺などを行い、伝染病の影響もあり先住民は激減した。スペイン領では、キリスト教伝道師が先住民保護に奔走するが、結果的に労働力の代替としての黒人奴隷導入につながった。近代以降も白人、混血、先住民で社会階層が分かれている国家がある。

ユダヤと人種差別

ユダヤ人とは民族名であり人種ではない。西欧社会ではフランス革命以降に少数民族の国民化と同化解放が進んだが、ユダヤ人達もその恩恵を受けた。ドイツではユダヤ教改革によるユダヤ人側からの同化努力も進んだが、この同化に対する多数派側からの疑問が近代反ユダヤ主義を育てる事になる。

黄色人種と人種差別

黄色人種は、白人社会からは卑屈で劣った人種だと思われながらも、確実に白人社会に食い込んでいった事もあり、一方的な搾取を受ける事態には至っていないケースが多い。

日本人と人種差別

海外に在住している日本人は様々な形で、偏見を投げかけれられたり、嫌がらせを受けた事例が有る。同じ黄色人種である中国や韓国も、儒教観念や中華思想から日本人を下位の人種と看做していた時期が長い。しかし、平均的な日本人が人種に基づく差別と無縁な環境にいる為に、自身が人種偏見を背景にした差別に遭遇した事自体を気付かない場合が少なくない。また日本人を差別的に呼ぶ用語にニップ、ジャップ等がある。


人種差別撤廃条約

人種差別の定義を「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」と定めている。


参考


http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/

http://homepage3.nifty.com/na-page/00.html

http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/000609race.html


 


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