著作権

出典: Jinkawiki

2009年7月31日 (金) 14:40 の版; 最新版を表示
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 copyright。知的財産権の一つ。著作者がその著作物を排他的・独占的に利用できる権利。その種類は著作物の複製・上映・演奏・放送・口述・展示・翻訳などを含み、著作者の死後一定期間存続する。


目次

著作物

 著作物とは「思想または感情を創造的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの(著作権法第2条)」(①思想または感情=独創性のないものはNG ②創造的に=ただの数字やデータなどはNG ③表現したもの=形になっていないものはNG ④文芸、芸術、美術または音楽の範囲に属する=ジャンルの限定。商品や工業製品はNG)のことである。この条件をクリアした著作物の生成者が持っている権利が「著作権」なのである。

 著作物のすべてが著作権で守られているわけではない。一部のものは例外扱いとして「著作権のない著作物」となる(ex:法律・憲法、判例、統計などの資料(創作的に表現されたものではないため)、国・公共団体の通達・告示、単なる事実の記述にすぎないものなど)。利用する人があまりにも多いものはいちいち許可を得ていたのでは手間がかかりすぎるので、国民全員に利用されることを前提に作られた、いわば公共性の高い「使って当たり前」のものについてはどんな人でも気軽に津無許可で利用できるようになっている。


著作者のみに認められる権利

   著作物を公開するか否か、氏名を表示するか否か、内容や題号を改編するかしないかというようなこと。また、複製(印刷・録音・録画などによる再製)、上演、演奏、公衆送信、口述、展示、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案、二次的著作物の利用(自分の作品をもとにした著作物についての権利)に関する決定も著作者のみに認められる権利となる。


申請と手続

   一般的に、何らかの権利を得るためには手続きや申請が必要である。しかし、日本では著作権は著作物ができたと同時に自動的に発生する。書類や手続きは一切必要ない。この著作物について、取得のための手続き不要の方式を「無方式主義」という。無方式主義では著作物にクレジット表示をしなければならないという決まりもない。著作権の発生については2つの方式があり、日本はこの無方式主義を採用している(ほかにもアメリカ、ヨーロッパ諸国など。ベルヌ加盟国160カ国)。もう一つの方式は登録が必要な「方式主義」である(カンボジア、サウジアラビア、ラオス、ニカラグアなど)。方式主義は登録しなければ著作権が取得できないという方法である。そのため著作権について明記のない著作物は、方式主義の国では著作権が認められない。1952年に方式主義と無方式主義の懸け橋として国際条約である「万国著作権条約」が作られた。これにより国際間の著作物のやり取りは比較的簡単になっている。2つの方式の間の調整は万物著作権条約によって行われる。


著作財産権と著作者人格権

 著作権者が持つことのできる権利には大きく分けて2つある。著作者の精神的な面を保護する「著作者人格権」(=著作者の人権を守るための権利)、経済的な権利を守る「著作財産権」(=著作物の利用に関してのもので、財産や金銭に関連する面について決められているもの。単純に著作権というときはこちらを意味することが多い)である。「著作者人格権」と「著作財産権」のうち、「著作者人格権」は譲渡や相続ができないが、「著作財産権」は譲渡可能。「著作者人格権」は譲渡や相続ができないだけでなく、日本では著作権法に明記がないので放棄することも難しく、著作権者が死亡してしまえばそこで消滅する。


著作物の利用

 著作権制度には「文化の発展寄与する」という大きな目的がある。この目的にかないつつ著作権者・使用者双方が満足できる環境を作り出すため、著作権法では、許可がなくても著作物を使用できるという例外をもうけている。ただし許可が必要な場合と不必要な場合との境界線が微妙なので、実際に自由使用する場合には十分注意が必要。(ex:私的利用のための複製、引用、図書館などでの複製、教科用図書への掲載etc…)

 引用をするのにも法則がある。著作権法32条「公表された著作物は、引用して利用することができる」これにつづいて、「この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」とある。つまり、引用として認められるには。「①公表された著作物であること②必然性がある③引用の範囲がはっきりしている④出典をはっきりさせる⑤引用部分の方がその他の部の“従”になっている⑥勝手な変更を加えない」といった条件をクリアする必要がある。

 私的利用範囲とは。私的利用のための複製は許可なしに可能。著作権法の中での私的利用とは「個人または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的利用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」(著作権法第30条)とのこと。つまり「私的」とは個人の周囲にいる特定のごく限られた数人となる。しかし、いくら「私的」の枠内に入る人物相手でもそこに金銭のやり取りがあってはならない。金銭がからむとそれは「私的」ではなく「営利」になってしまい、もう「私的使用」とは言えなくなってしまう。


保護期間

 世界中どの国でも、著作権には保護期間が決められており、保護期間が過ぎればだれでも自由に使えるようになっている。日本での保護期間は原則として著作者の死後50年間(例外:映画→公表してから70年間(公表してないものは創作後70年)、連載作品→最後部分の公表から50年間、共同著作物→著作者のうち、最後に死亡した人物の死から50年間、著作者が不明→作品の発表から起算して50年間(途中で著作者が判明した場合はその著作者の死から起算する))。消滅の時期については「死亡、公表、創作の翌年から起算して50年」というように年単位となっている。ただし、著作物のすべてが著作者の本名や没年がはっきりしているものばかりではない。そういった場合、人物ではなく作品を基準にカウントされることになる。つまり「作品が発表されてから50年」というように。  著作物の保護期間は各国それぞれによって異なる。各国の機関の差については国際条約によって調整される。現在、アメリカなどの主要国で保護期間が70年になっているという状況を踏まえて、日本でも保護期間を延長しようという動きがある。


引用文献

編集部(編) 2007 まるわかり著作権ガイド 株式会社彩図社

新村出(編) 2008 広辞苑第六版 岩波書店


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