利用者:WikiSysop
出典: Jinkawiki
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CAP 共通農業政策(CAP)の目的は、農民の生活水準の適正化と同時に消費者に良質な食品を公正価格で提供することにあります。この目的を達成する方法は時代とともに変化しており、現在では、食品安全、農村の環境保全、金額に見合う価値すべてが中心的な概念となっています。
CAPと時代の移り変わり 共通農業政策(Common Agricultural Policy=CAP)が産声をあげた50年前は、欧州統合に当初から参加した国々が10年以上にも及ぶ食料不足から抜け出して間もない時でした。CAPは自給自足のために基本的食糧の生産を補助する形で導入されましたが、今日では、農業収入、食品の安全と質、環境的に持続可能な生産を保証する最善の方法としての農家への直接支払いを柱としています。
この手法は、質の向上、生物多様性や伝統的景観の保全、農村経済の存続において農民が果たし得る役割を認識しやすくしています。これにより、最も必要なところに資金を費すことと、消費者には適正価格で安全な食品を、またEUの納税者には金額に見合う価値を提供することのバランスがとれるようになっています。(例えば、域外からの農産物などには課徴税(税金)をかけ、域内からの輸出の際には補助金(課徴税+拠出金)をかけるなどといった政策がある)
政策の重点が変わり始めたのは、常に基幹食品の自足を目指す政策が供給過多を生み出し始めた後のことです。10年以上前に行われたCAPの費用効果を向上させるための改革の結果、牛肉やバターの山、牛乳やワインの海はもはや過去のものとなりました。かつてはCAPがEU予算総額の7割近くを占めていたこともありましたが、他の政策の拡大とCAPの歳出削減により、今ではその割合も50%を優に下回るようになりました。同時に農業予算が支払われる対象の範囲が広がり、農村開発や環境が含まれるようになりました。EUの公共支出総額のうち農家への助成に当てられる割合は1%にも満たないのです。
拡大の課題 2004年5月の拡大で加盟国の数が15から25へと拡大し、EU域内の農民の数が70%近くも増加しましたが、この改革によりCAPの準備は整っていました。新規加盟国の農民がEUでの生活に対する準備ができるように、農場、食品加工、販売体制などを近代化するための資金を提供したり、環境的に健全な農法を奨励するなど、すでに多くの策が実施されていたのです。拡大後の3カ年を対象とした特別の資金援助計画は、そのような農民の必要に合わせて策定されたものであり、早期引退、辺境地域、環境保護、植林、半自給農家、生産者グループ、EUの食品衛生および動物福祉水準の遵守などを援助するために、現在58億ユーロが提供されています。さらに、CAP規則の中には適応するための時間を確保するために、段階的に導入されるものもあります。
参考資料 http://www.deljpn.ec.europa.eu/union/showpage_jp_union.afs.agriculture.php