標準語
出典: Jinkawiki
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標準語とは、ある国またはある言語集団で、公的生活において規準となるような、音韻・アクセント・語彙・文法等を備えた言語。 「標準語」に近い術語に「共通語」があるが、共通語が東京語を母体として成立し現実に使われている言語であるのに対して、標準語は人為的に理想的なものとして樹立されるべき言語である。「標準語」という術語が使われはじめた明治時代以来、1945年(昭和20)ごろまでは標準語は共通語と同じ意味で用いられ、両者の区別があいまいであった。近年は両者を区別して使う傾向が強くなっている。標準語の具備すべき条件として、好ましいもの・品格あるもの、理想的な言語生活を可能にするもの、思惟や思想の進展をきたすものなどがあげられている。標準語の認定にあたっては、多数の人々に行われているもの、共通語や国語史からみて筋の正しいもの、明日の国語生活に大いに役立つものを重んずることが必要である。 日本語の場合、東西方言の対立、旧社会階層の分離などの要因から、古代前期(奈良時代)には大和のことばが、古代後期(平安時代)から中世・近世前期には京都のことばが中央語と考えられたといってよい。近世後期(江戸時代後半)から江戸語が中央語の座につき、明治維新後も多様な方言の対立のなかから前記の公的生活、教育に用いる言語が模索された結果、東京の教養ある階層のことばを素地とするという考え方が支配的になって今日に至っている。しかし、音韻、アクセント、語彙、語法など流動性が強い。 また、標準語という言葉は明治23年に英語学者の岡倉由三郎らが、方言撲滅運動の中で使ったものと言われているが、最近では「標準」という呼び方が方言の差別になるという考えもあり、共通語という呼び方が浸透し始めている。 標準語は、使用しやすい、いい言語であるが、あくまで「いい言語」「使用しやすい言語」であって、「完全な言語」でもなければ「正しい言語」でもないということをしっかり理解しておくべきである。
参考文献・参考URL 『標準語の成立事情』真田信治著(1987・PHP研究所)