バウムテスト(樹木画テスト)

出典: Jinkawiki

2009年8月5日 (水) 12:10 の版; 最新版を表示
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バウムテストとは性格検査に用いられる投影法のテストの一つである。

目次

概要

バウムテストとは被験者に樹木、もしくは実のなる樹木を描かせるテストである。必要なものがB5のケント紙とHBの鉛筆、消しゴムですむため、比較的容易に行うことができる性格検査となっている。無論、被験者との実地者との間に、他の心理検査と同様に、ラポール(心のつながり)を形成しなければならない点に留意する必要がある。

テスト開始前の留意点

テストを実地する際には被験者との間にある程度の信頼関係を築いておく必要がある。性格検査である以上、被験者が極度の緊張状態にある場合、テストの結果に大きな影響を与える可能性が高く、テストを開始する際には、被験者の緊張が解けているかをしっかりと確認しなければならない。
被験者の緊張が解け、テストを行ってもよい、行えるという意思表示、心構えができたとき、テストを開始する。この時実施者はこのテストは上手下手を調べるものではなく、自由に書いてかまわないが、出来るだけ丁寧に書くこと、消しゴムは使用してもよいことを被験者に伝える。また、写生ではなくあくまで自分で想像したものを書くように、木は一本だけ書くよう伝える。

テスト開始中の留意点

実施者は被験者に気づかれないように所要時間を計り、被験者の行動を観察する。被験者が質問を提示してきた場合は「あなたの思うように描いてください」と答え、質問の内容を書きとどめておく。また被験者が、紙を横にして使う、漫画風に書く、抽象的に書くなどを行った場合もそのまま描かせ、終了後、もしくは後日にもう一度行い、その際に「今度は普通の木を書いてください」と指示し再テストを行うのが望ましい。また、先にも述べたよう、テストの結果を正確に読み取るためにも、被験者には丁寧に書くことが一番重要であることを伝えることが望ましい。

テスト実施後

テストが無事終了したら、そのテストの結果から被験者の性格診断を行う。樹木画を見るテストではあるが、テスト終了時に被験者へ質問を行うことが望ましい。以下、具体的な方法を述べていく。

描画後の質問

描画後の質問では、樹がどのような状態であるか。この機に被験者がどのようなことを感じているかなどを質問する。また、枯れていたり、傷があったりする場合はその理由、その木から感じる人物、男女、強いか弱いか、などの質問も行う。

全体的評価

被験者が樹木画を完成させたら、まずはその樹木全体の評価を行う。全体評価では、検査者が直観的に被験者の精神状態を知ることができるとされ。直観的に評価することが重要であり、実があるか、枯れているか、といった樹木の内容や、上手下手の美的な文で評価してはならない。

樹木の表す人物像

全体評価と同時に、被験者の描いた木がどのようなパーソナリティの側面を表すかも考慮することが重要となる。一般的に樹木画は無意識の自画像を表すとされるが、父や母、親しい人物を象徴する場合もあり、慎重に判断しなければならない。また、樹木の表す人物像はテストの結果だけでは判断が難しく、過去の面接結果や生活史も考慮して判断する必要がある。

空間象徴

空間象徴とは筆跡が九で用いられた理論であり、用紙に描かれている樹木の位置によって意味を見出している。具体的には、文字を左から右に書く文明の人ならば、左側は、過去、発端、出生、女性などを表し、右側なら、未来、結末、死、男性を表すとされる。ただし、文字を右から左へ書く文化も存在し、一概に上記したものが正しいとは言えないため、注意が必要である。

サイズ・筆圧・ライン

サイズ、筆圧、ラインは木の内容そのものではなく、樹の書き方を見ている。木のサイズは通常、用紙の1/3~4/5を普通のサイズとして、それ以上、それ以下で大小を定める。一般的に大きな木からは、自己拡大の欲求、活動性がみられるとされ、小さな木からは、低い自尊心、劣等感、抑鬱感がみられるとされる。また、描かれた木の筆圧ラインも重要な判断材料となり、強い筆圧で書かれたものは、緊張の強さ、高エネルギー性、自己主張、弱い筆圧では、不安、ためらい、自己批判などが推測される。

ラインからは、直線的か、曲線か、長いか、短いかなどを見定め、被験者の性格を判断する。具体的には、長く直線で丁寧に描かれた線は、情緒の安定、感情、行動抑制ができる人物が描くことが多く、短く雑ならば、興奮しやすく、感情的な人。短くてギザギザならば、敵意、警戒、丸みのある曲線ならば、健康で適応的であるとされる。ただし、以上のものが過度に見られる場合は注意が必要だといえる。

幹・根・樹冠・葉・枝

幹の形からは被験者の自我強度、生命力精神力、内的衝動の流れ、感情昨日の働きを象徴しているとされる。また、幹の下部が、幼少期、無意識の経験を表し、上部が現在、意識された経験を表すとされる。また、幹の長さ、太さも重要で、長さからは衝動性が、太さからは主張性がみられる。

根からは現実との接しかた、過去、家族、無意識的な欲求が現れるとされ、多くの被験者は、幹の根元を太く書くなどで明確に値を描くことは少ない。逆に、成人の被験者で明確に根を描いていた場合は、注意して考察する必要がある。

樹冠では多くの人がほぼ左右対称に描き、そこから適切な自己評価、理性による自己統制、適切な人間関係の管理がみられるが、樹冠が左右どちらかに偏っている場合は、先に述べた木の位置と同様の判断を下す。また、葉からは感覚器官、精神的エネルギーの強さ(若さ)、外界への好奇心と外交性、外界からの日影響性などがみられるとされ、枝からは、目標や理想の方向、家族、友人、社会などの人間関係での相互作用、外界と内的世界との精神的な交友の円滑さなどを表すとされている。

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