世界銀行2
出典: Jinkawiki
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世界銀行は、1944年に成立したブレトン・ウッズ協定に基づき、1945年に設立された国際復興開発銀行(IBRD)のことを指すのが普通。 IBRDは、その名前のとおり、当初は第2次世界大戦で荒廃した国々の復興資金を援助するため、その資金貸し付け機関としてスタートした。 やがて戦後復興が一段落し、アジア・アフリカ諸国が大量に独立すると、これらの国々の開発資金を調達する機関として、世界銀行は機能するようになる。 日本も、世界銀行からお金を借りてインフラ(社会資本)整備を行った国の1つ。東海道新幹線など1960年代のビッグプロジェクトには、世界銀行からの融資によって実現したものが多くある。
世界銀行の運営
世界銀行が融資する資金は、国際金融市場から世界銀行債を発行して調達されたものと、加盟国が拠出したものとがある。
そして、世界銀行の総会(総務会)では、加盟国は拠出した額に応じた議決権を持つようになっている。具体的には、各国に平等に割り当てられた票に加え、拠出金が特定の金額に達するごとに一票を有するようになっている(加重投票制)。
そのため議決権のほとんどは先進国が持っており、運営はもっぱら先進国ペース。もちろん開発途上国からの不満も少なくない。
総裁は、世界銀行への拠出額が最も多いアメリカの大統領が指名したアメリカ人から選ばれることが慣習となっている。実際、過去の総裁はすべてアメリカ人。
資金のゆくえ
世界銀行は世界でも有数の開発金融機関。世界銀行が資本市場で調達した資金は、貧困削減と人々の自立を援助するために、途上国や新興国への貸出などの世銀の一般業務に使われる。具体的には、世界銀行の資金は、人々への投資、環境保護、民間部門の成長支援、公的部門への援助、経済改革促進、そして他の資金供与者との協調融資などに使われている。
世界銀行は第二次世界大戦による荒廃の中で1944年に設立され、戦後の経済復興のために最初の貸付を欧州諸国に行った。1950から60年代においては、日本を含めた、開発途上の国々への貸出が中心になった。今日では、世銀はアフリカ、アジア、ラテン・アメリカ、東ヨーロッパおよび旧ソビエト連邦への移行も支援している。世銀は人的資源(教育、医療、等)での最大の投資家で、融資総額の3割に達しています。世銀はまた、環境保全分野での最大の資金供与者でもあり、総額112億ドルの貸出残高がある。
世界銀行グループ
そして、世界銀行は開発途上国の現状に応じて、他にもさまざまな国際金融機関を発足させた。
まず1956年に国際金融公社(IFC)が作られた。これは開発途上国の民間部門、つまり企業などに対して融資や投資を行うもの。また、1960年には現在「第2世界銀行」とよばれる国際開発協会(IDA)が設立された。IDAは原則として無利子融資を実施する。
また1988年には多国間投資保証機関(MIGA)が作られた。先進国の投資家などが開発途上国に投資する際のリスクを保証することで、先進国からの民間投資の促進を行う機関。
これらの機関を総称して世界銀行グループ(世銀グループ)といい、世界銀行総裁が他の機関の総裁も兼ねる。よって世界銀行総裁は、開発途上国への金融、そしてそれを通じた途上国開発について、大きな責任を持っているポストだということがいえる。
世銀における文化人類学
1970年代から世銀では、社会科学者を採用し始め、1990年代に経済学者以外の社会科学者の数
が増加し始めた。この背景には、世界各地の紛争地域や災害被害地で強制移住や再定住化のプロ
ジェクトが増えたために、社会的な安全性(social safeguard)を考えるうえで社会科学者が必
要になったという事情があった。
2004年現在では社会開発の専門家とて雇用されている社会科学者は約140人であった。このう
ち約50人が文化人類学者であり、世界各地に分散して任務を遂行している。D. アロンソン氏に
よると、近年、文化人類学者の数は減少傾向にあるという。
世銀における社会科学者の役割は、社会分析と社会的なアセスメントである。社会分析とは、
提案されているプロジェクトの対象予定社会について状況を分析し、世銀の担当部署に知らせる
ことである。社会的なアセスメントとは、地元民の声をすくい上げつつ、開発計画が実施された
場合の社会的な諸影響を査定することである。後者では社会的な安全性が重視され、例えば、ダ
ム建設が近隣の少数民族や先住民族に社会的に悪影響を及ぼす可能性が高ければ、世銀の担当者
にそのプロジェクト提案を承認しないように勧告する。
参考文献
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20070603A/
http://www.jica.go.jp/jica-ri/publication/archives/jica/cd/pdf/200807_aid_09.pdf#search='世界銀行 役割'