インドの政治制度

出典: Jinkawiki

   インド共和国の政治制度は、50年1月26日に施行されたインド憲法に定められている。インド憲法は世界で最も長文の憲法と言われ、全部で395条と付則で構成されている。この憲法は、英国式の議院内閣制、共和制、連邦制が基盤になっている。インド共和国は大統領を元首とする議員内閣制であり、政権は普通選挙によって交代可能となっている。インド憲法第1条には、「インドは諸州の連邦」と規定されており、連邦議会と州議会で構築されている。


国会

国会(連邦議会)は上院(245議席、任期6年、2年ごとに3分の1を改選)と下院(545議席、任期5年)の2院制度である。下院が国民全体を代表し、上院が州を代表する、という仕組みになっている。10億人の人口を持つインドでは、18歳以上の有権者が約6億2000万人いる(1999年調査)これは、インドが「世界最大の民主主義」を誇る理由となっている。インドでは、他の議院内閣制の国々と同様、下院が上院に対する優越性を持っている。その第一として、下院が多数を占めている大一党のリーダーが首相になる点である。第二に、歳入歳出を伴う金銭法案に対して、独占的な可否の権限を持っていることである。いずれも、下院が国民による直接選挙で構成されているという原理に基づいている。なお、各州議会や連邦下院は、直接選挙によって選ばれる。


行政・選挙

国家元首である大統領は、議会の上下両院と州議会議員で構成される選挙会によって選出される。任期5年。副大統領は、議会で選出される。大統領が任期満了、死亡、解職で欠ける場合は、副大統領の地位のままその職務を行う。任期は大統領と同じ5年だが、就任時期をずらすことで、地位の空白が生ずることを防止する。また、副大統領は、上院の議長を兼任する。議員は、どちらの議会も国民の直接選挙によって選ばれる。首相と州知事は大統領により任免され、州首相は州知事により任免される。連邦議会、州議会の選挙だけではなく、村落協議会(パンチャーヤット)レベルまで選挙が行われ、何事も選挙を通して決めるという、非常に民主的な手続きによって決める事が多い。連邦制の下に、各州には州議会もある。上院は大統領指名枠を除けば、各州議会から選出される。連邦議員と州議会は小選挙区制度(一選挙区一議席)である。連邦下院では総議席数の内2議席は大統領が指名する。したがって、残り543議席がインド全土(28州とデリー首都圏、6直轄領に1議席ずつ、残りは人口比に応じて配分)に振り分けられる。


また、「指定カースト」に79議席、「指定部族」(インド原住民)に41議席の割り当てもある。これはインドの長年の歴史の中で虐げられた人達に対する憲法上の特別な保護措置でもある。なお、選挙においては、識字率が普及していないため、読み書きが出来ない人達が多い。そのために政党のシンボルマークが作られ、投票する人は支持するシンボルマークにスタンプを押せばよいという仕組みになっている。字が読めなくとも、貧しくとも18歳以上のインド人であれば選挙に参加できるというのが、これもまた世界最大の民主主義国家であると呼ばれている理由だろう。


司法制度

インド共和国は単一の司法制度を取っている。中央には最高裁判所、主な各州に高等裁判所、その下に地方裁判所がそれぞれ置かれている。インドの裁判所は伝統的に、司法権の枠内で活動してきたが、90年代に入ると、特に最高裁判所が公益の観点から積極的に汚職問題などに関与するようになっており、その活動ぶりは「司法積極主義」と呼ばれている。


参考文献

「図解 インドの仕組み」 2001年12月10日 第一版発行 著者 島田卓 発行所(株)中継出版

「インドを知るための50章」2003年4月10日 初版第一版発行 編集者 重松伸司 発行所 株式会社 明石書店

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