スウェーデンの環境教育2
出典: Jinkawiki
歴史的背景
歴史的に見るとスウェーデンは環境や自然保護を重要視した国民ではなかった。スウェーデンは元々工業国である。広大な国土から豊富な資源を積極的に利用してきた。その為、工業化と引き替えに自然は次第に破壊されていった。しかし、工業化は自然破壊を引き起こした一方で心ある人々を自然保護運動にかりたて、自然保護をまもるスウェーデンの国民性を培ってきた。これはスウェーデンに古くからある、自然は公共財産であるという考え方に由来するものである。そのような歴史を経てきたスウェーデンは環境保護に関する先進国になった。 その結果、家庭ゴミのリサイクル率は96%、ゴミは最終的に100種類に分類される。なお、電力の46%はグリーンエネルギー、CO2は1990年からマイナス9%減らすことに成功している。子どもの頃から環境教育への取り組みが進んでいる。
具体的な取り組み
〈例1〉 ゴットランド地方、ホリケン幼稚園の事例
園児たちの食べるおやつにはスナック菓子はでない。おやつはすべて果物だけであり、果物の皮や芯は残飯用のバケツにいれ、決してゴミにはしない。それらを園内にある鶏小屋に運び、えさとなる物は鶏に与える。それ以外のものと鶏の糞やコンポストから出る堆肥は植物の肥料として活用する。そして植物からは酸素が大気に放散される。日常に自分たちに必要な物はどこからきたのか、どうやってきたのか、どこにかえるのか、そのポリシーを肌で学ばせる為に園児たちの出した残飯が、どのようなサイクルで循環するのか直接しめしている。
〈例2〉 森のムッレ活動
就学前の子どもたちは環境をファンタジーと取り入れながら学ぶ必要があると考え1957年から始めたものである。森のムッレは子どもたちの活動のシンボル、森の中の子供の友達、子供たちのグループにやってきては森のお話をしてくれる。森のムッレ教育では子供たちに自然の循環がどういうものなのかを教えていく。例えば、大きな木の前では、木の根っこから木の上までの間に生命空間を大切にすることを教える。木に集まる小さなありも大きなへら鹿も森の中では同等に大切な役割を担うことで、森の中のものすべてが循環されている。動物と動物、植物と植物におけるつながりに気づかせ、人間もその循環の中の1つということを理解させる。ムッレ教室では、森に10回ぐらい森に出かけ、そのうち2,3回目にムッレが登場する。ムッレは子供たちに「私の手伝いをしてくれますか」と聞く。これはムッレからの「自然をきれいにしれくれますか」のまじめなメッセ-ジが込められている。子供たちはムッレに会うことで、ムッレの手伝いをしようと言う気持ちから森をきれいにしようという行動をすることができる。
参考文献・参照文献
岡部 翠著 『幼児のための環境教育―スウェーデンからの贈りもの「森のムッレ教室」』 新評論