ノート:非正規雇用
出典: Jinkawiki
非正規雇用とは
働く期間を定年までとする正規雇用(正社員)以外の、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など、短期契約の雇用形態。 総務省の労働力調査によると、非正規雇用者は07年に約1,732万人で、労働者全体の33%を占める。特に、人材派遣業を法的に認めた労働者派遣法が施行された86年からの20年間で、派遣社員は22倍の321万人に達した。
非正規雇用・実態
パートタイムの実態
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)(パート労働法)にいうパートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」となっており、以下においても基本的にはこの概念をもってパート労働者と呼ぶ。ただ、もう一つ統計的な概念として、「勤め先の呼称がパートである者」というとらえ方がある。これらの中には短時間労働者でない者も相当数含まれており、一般的に「パート」という概念が短時間労働者という意味だけでなく、「正社員でない者」という意味で用いられている実態があることを示している。
ここで、「パート労働者(ここでは週35時間未満雇用者)」と「勤め先の呼称がパートである者」の関係を整理すると、数的にはどちらも1100万人前後であるが、前者のうち2割は正社員や派遣等、後者のうち3割は35時間以上であり、800万人弱は両者が重なっている部分となっている)。 総務省「労働力調査」によれば、平成12年の週35時間未満非農林雇用者は1,053万人(うち女性754万人)で、非農林雇用者中に占める割合も2割(女性では36.1%)に達し、20年前の昭和55年の約1割(390万人)から大きく上昇している。また、「呼称パート」は1,129万人で非正社員の8割強を占めているが、景気後退期における正社員と非正社員の増減のパターンをみると、従来は景気後退期でも正社員の増加は続いており、非正社員の増加が抑えられるという形で調整がなされてきたが、今回ははじめて正社員が大幅に減少する一方で、非正社員は大幅に増加しており、明らかにパターンに変化がみられる。
産業別にみると、「卸売・小売業、飲食店」(364万人)、「サービス業」(339万人)、「製造業」(163万人)の3業種に8割以上が集中している。ここ10年の変化を各業種におけるパート比率でみると、特に卸売・小売業、飲食店で上昇が著しい。既存の業態におけるパート比率の引上げに加え、外食産業やコンビニエンスストアなどパート・アルバイトを多用する新しい業態の登場・成長も反映していると考えられる。 企業規模別にみると、約4割が1-29人規模で働いているが、ついで多いのは500人以上規模で約2割となっている。ここ10年の変化を各規模に占めるパート比率の推移でみると、特に1000人以上の大企業で上昇が著しく、10年前は7%弱だったパート比率が約3倍の2割弱にまで上昇している。 職業別にみると、サービス、販売、事務で7割弱を占めているが、ここ10年の変化を各職業におけるパート比率でみると、特に労務作業、サービス職業などでの上昇が著しい。
契約社員の実態
短期契約で雇われる形態を広く指す。製造現場に勤務する者は特に臨時工、期間工などとも呼ばれる。高度な技術を有した専門職の人が1年以内の契約を結んだり、一度退職した職員が再雇用で嘱託社員として雇われる形態も含まれる。固定給のみならず、営業職に多く見られる完全出来高制のような形態もある。 構成は、高齢層の割合が高い。また、若年層でも契約社員になる割合は増えている。
派遣社員の実態
企業が派遣会社と契約を交わし、派遣会社が雇っている職員が企業に派遣されて業務を処理する形態。指揮命令権は派遣先にある。 長い間、職業安定法の下、きわめて限定的な雇用形態として位置づけられてきており、労働者派遣法の制定により正式に法律で規定されたのは1986年。当初は業種が制限されていたが、1999年、2004年に同法が改正され業種が拡大、それに伴い、派遣職員は契約社員ほどではないが増加している。 構成は、女性と男性とでは女性が多い。
現状
非正規雇用者は極めて弱い立場にある。2000年代は輸出産業である製造業が好調だったが、人手不足は外国人労働者を含む派遣社員を中心に非正規雇用でまかなわれた。そのため、海外市場の減速が製造業を直撃した2008年秋頃から、非正規雇用者の解雇・雇い止めが増加。職を失った多くの非正規雇用者たちが路上へ放り出された。また、製造業以外の職種でも非正規雇用労働者の解雇・雇い止めが進んでいる。