フォルケホイスコーレ18

出典: Jinkawiki

概要

 フォルケホイスコーレとは、デンマークに150年ほど前から始まったデンマーク独自の自由な学校。「民衆(国民)の大学」を意味する。現在100校を超え、デンマークだけではなく世界に広がっている。17歳半以上であれば、性別・年齢・障害の有無・国籍を問わずだれでも学ぶことができ、学期は2ヶ月の短いものから、最長8ヶ月まであり、好きなだけ更新できる。特色としては、試験を拒否し、単位や資格を与えず、全寮制で教師と学生が共同生活をして学び、カリキュラムは自由で、国家の干渉を受けない私立の学校であることがあげられる。書物よりも対話を中心に、生そのものを学び、社会性を自覚することを目標としている。合宿型のカルチャーセンターのようであるが、なにか技術や知識を習得することに主とするのではなく、あくまで授業や討論・実践・実習・生活を通して、自己発見をし、これから生きる自分の道を探すことに重点をおいている。れっきとした学校教育の場である。近代デンマークの父、N.F.S.グルトンヴィ(1783-1872)によって構想され、今日のデンマークを築く原動力となった。


特徴

 フォルケホイスコーレの特徴を説明する。

・入学資格は原則として満17歳半以上であることのみ(学校によっては18歳)。

・入学試験がない。在学中も「試験」と名のつくものは基本的にない。外国人の場合、学校によっては比較的高いレベルの英語力もしくは現地語の能力が求められる。

・成績表・修了証や卒業証書は原則ない。また、単位や資格が付与されない。

・全寮制であり、滞在中は他の生徒と寝起きを共にし、教師も同じ敷地内に寮生活をしていることが多い。

・学費:授業料・寄宿料・食費(1日3食)・その他を含めて、1カ月10万円~15万円が目安。(2015年6月現在)

・科目は人文科学系、芸術・デザイン、体育スポーツを中心として、さまざまなことを学ぶことができる。授業科目に決まったものはなく自由である。教員はアドバイスを与えるのみで、学生の自主的なグループ学習が中心となっている。

・自由なカリキュラムであるといえど、各校に一定の方向性があり、伝統的なカリキュラム(文学・歴史・絵画・音楽・自然科学・政治経済・哲学・心理学・デンマーク体操など)中心の学校もあれば、語学・家政・芸術・工芸や体育を専門に教える学校、あるいは現代的な、エコロジー・自然エネルギー・環境教育・発展途上国・有機農業・ジャーナリズム論・国際関係論などに重点を置いている学校などがある。

・学習期間は原則、最大10カ月(12週、16週、20週、24週などのコースがあり、国や学校によって異なる)。

・自由な教育の体系をもっている。幼稚園、フリースコーレと呼ばれる小学校、エフタースコーレと呼ばれる寮生活を中心とする自由な中学校、そしてフォルケホイスコーレと普通の小中学校の教員資格がとれる教員養成学校、学位なども取得可能なフォルケアカデミーと呼ばれる研究所がある。

・すべて私立の学校で、政府の援助を受けるが、国の干渉は一切受けない。


参考文献

「生のための学校―デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界―」(1996)

清水満 新評論


  人間科学大事典

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