南総里見八犬伝
出典: Jinkawiki
概略
「南総里見八犬伝」は江戸時代後期に曲亭馬琴(滝沢馬琴)が28年もの年月をかけて著した、室町時代後期を舞台に安房国里見家の姫・伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八人の若者(八犬士)を主人公とする長編伝奇小説。戦国時代に安房の地を活躍の拠点にした房総里見氏の歴史を題材に書かれている。馬琴はこの物語の完成に48歳から75歳に至るまでの後半生を費やし、1814年(文化11年)に最初の5冊を出版してから、全106冊を出し終えたのは1842年(天保13年)である。
内容
物語の主題は、「勧善懲悪・因果応報」。共通して「犬」の字を性に持つ八犬士は、それぞれに仁・義・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉(仁義八行の玉)を持ち、牡丹の形をした痣を身体のどこかに持っている。関八州の各地で生まれた彼らは、それぞれに辛酸を嘗めながら、因縁に導かれお互いを知り、里見家のもとに集結する。物語は、結城の戦いに敗れた若武者里見善実が、安房へ落ち延びる場面から始まる。
影響
本作は現在に至るまで大衆文化・ドラマ・漫画・アニメなど各ジャンルの創作に影響を与えている。「前世の因縁に結ばれた義兄弟」「共通する聖痕・霊玉・名前の文字」「抜けば水気を放つ名刀・村正」などがモチーフにされている。
参考文献
白井喬二訳 2003 現代語訳南総里見八犬伝 河出文庫