善き人のためのソナタ

出典: Jinkawiki

「善き人のためのソナタ」(Das Leben der Anderen)は2006年(日本では2007年)に公開されたドイツ映画。監督はフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。


目次

概要

ベルリンの壁崩壊より5年前の東ベルリンを舞台に、東西統一後も長年タブー視されていた旧東ドイツの支配の中枢を担っていた強大な監視システム「シュタージ」をテーマとした作品。
初監督作でありながら、歴史学者や当時の職員等への取材や大量の文献を読むなど、リサーチに4年を費やした今作はシュタージの内幕を正確に描き「近年のドイツでもっとも重要な映画」と称賛された。


あらすじ

1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(通称:シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンとその恋人で舞台女優のクリスタが反体制的である証拠をつかむよう命じられ、彼らのアパートの屋根裏に監視室を作り盗聴を始める。
国家に忠誠を誓い、成功すれば出世まで約束されていたヴィースラーだったが、二人を監視していくうちに彼の心に変化が現れるようになる。ドライマンの弾く“善き人のためのソナタ”を盗聴越しに聴き、涙を流すのであった。


時代背景―ドイツ史―

1945年 ドイツ無条件降伏
      ベルリンは戦勝4カ国によって東(ソ連統治領域)と西(米・英・仏統治領域)に分断された

1948年 ベルリン封鎖(~49年5月12日)

1949年 東西ドイツ分断
      ドイツ連邦共和国(BRD)=西ドイツ成立
      ドイツ民主共和国(DDR)=東ドイツ成立

1952年 東西ドイツ間国境設立
      国家保安省設置

1955年 西ドイツ、NATOに加盟
      東ドイツ、ワルシャワ条約機構に加盟

1961年 「ベルリンの壁」構築

1973年 西ドイツとともに国際連合加盟

1983年 ドレスデンの10万人平和デモ

1989年 「ベルリンの壁」崩壊

1990年 通貨統合(東マルクの廃止)
      ドイツ統合

登場人物

ヴィースラー大尉:ウルリッヒ・ミューエ
党に忠実なシュタージ局員。ドライマンの監視を通して、内面に変化が起こり嘘の報告を始めるようになる。
作戦が中止された後は郵便部に左遷され、壁崩壊後はチラシ配りの仕事に就いていた。


ゲオルク・ドライマン:セバスチャン・コッホ
劇作家。知らぬうちにシュタージの監視の対象となる。イェルスカの自殺を受け、西ドイツのメディアにDDRが公表しない「東ドイツの自殺率の高さ」を報道させようとする。
1991年に初めて自分が完全監視されていたことを知り、シュタージ・ファイルの報告書から自分を監視し、最後には守ってくれていた男の存在を知った。


クリスタ=マリア・ジーラント:マルティナ・ゲデック
女優でドライマンの恋人。実は薬中毒に陥っており、またヘムプフ大臣と関係を持つシュタージ協力者であった。
尋問に屈しドライマンがシュピーゲル誌に記事を書いたことを認め、タイプライターの隠し場所を教えてしまう。その罪の意識からトラックの前に飛び出し息を引き取った。


グルビッツ部長:ウルリッヒ・トゥクール
シュタージ文化部部長。ヴィースラーにドライマンの監視を命じる。
クリスタの供述から確信を持ってドライマンのアパートに踏み込むも、先回りしたヴィースラ―によって隠されていたためタイプライターを見つけることは出来なかった。


アルベルト・イェルスカ:フォルクマー・クライネルト
DDRから職業活動を禁じられていた演出家。ドライマンに「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」という言葉とともに“善き人のためのソナタ”の楽譜を送り、その後自殺。


ヘムプフ大臣:トーマス・ティーメ
シュタージ大臣。ドライマンの舞台後のパーティーでクリスタに魅かれ、権力で関係を持っていた。
ヴィースラ―の言葉に心動かされたクリスタが約束を反故にしたため、薬物の不正購入を理由に彼女を刑務所送りにする。


主な受賞

アカデミー賞:外国語映画賞

ヨーロピアン・フィルム・アワード:作品賞、主演男優賞、脚本賞

LA映画批評家協会賞:外国語映画賞

インディペンデント・スピリット・アワード:外国語映画賞

など


参照元

「善き人のためのソナタ」映画パンフレット 2007年
Wikipedia


HN:M.Y


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