国内排出権取引制度
出典: Jinkawiki
国内排出権取引制度の選択肢は主に上流型と下流型がある。現在は下流型に落ち着いている。
・上流型排出権取引制度:
●排出権の割り当て対象:化石燃料の輸入・生産者
●メリット:輸入依存度がほぼ100%であるため、既存の通関行政システム(関税)の延長でできる。
関税システムに排出権取引システムを加えるだけで活用できる上、輸入業者だけ対策すればよく、業者数は民生や自動車より少なくて済む。
価格転嫁の結果、全ての部門に排出削減の誘引が発生。
電力生産・自動車消費:燃料費上昇、電力消費:電気料金上昇
●デメリット:末端処理(汚染物質などの発生後、自然環境に排出せずに処理すること)を開発・導入する利益がないため、誘引が発生しない。
電力生産者:燃料の種類と発電量を選択する誘引のみ。
自動車消費者:使用車種・走行手段・走行距離を選択する誘引のみ。
●対策:末端処理技術の導入・開発に補助金
・下流型排出権取引制度:
●排出権の割り当て対象:化石燃料の直接消費者
●メリット:末端処理を含めた排出削減の誘引が発生。
電力消費者・自動車:CO2の回収技術を追求する誘引が発生。ただし、化石燃料の消費者ではなくCO2n排出量に関する権利が前提。
●デメリット:対象者が多く、執行費用が膨大に。
●対策:炭素税(排出権取引参加者には軽減税率の適用も)。国内で大企業が中小企業の削減事業に協力してクレジット獲得。
上流型に対して、2008年5月の環境省検討会の評価は、「排出者の参加意識が低くなり、排出削減の誘引低下が懸念される。」「海外からのクレジット購入に依存する可能性がある。」など否定的な意見が上がった。