安楽死2

出典: Jinkawiki

由来

安楽死はギリシャ語の「良き死」に由来する言葉である。「euthanasia」はフランシス・ベーコンが17世紀に『学問の進歩』の中で用いたのが始まりである。戦前の日本では「安死術」という訳語が一般的だったようだが、セルウイン・ジェームスの「安楽死『慈悲の介錯』は悪いか」という論文に初めて「安楽死」という訳語が登場し、戦後の日本社会に広まった。

意味

安楽死とそれに関連する言葉は、時代、社会、あるいは医療、哲学、倫理学、法律学などの分野、さらには論者によっても様々な意味を持たされてきた。安楽死という言葉は、このように極めて多義に用いられているが、刑法上問題となる安楽死を念頭に定義するなら、「安楽死とは、死期が迫っている患者の耐え難い肉体的苦痛を緩和・除去して安らかに死を迎えさせる措置」といえる。また、安楽死は積極的安楽死と消極的安楽死の大きく2つに分けることが出来る。積極的安楽死は、薬物を投与するなど積極的な方法によって病人の死期を早めることであり、医療の名の下での自殺幇助ということになる。日本を含む多くの国において刑事犯罪として扱われている。消極的安楽死は、無意味な延命治療、努力をしないで自然と死に到らしめることをあらわす。尊厳死を保つ意味からも認知されている。 ナチュラルコースとも言われている。例えば、呼吸の停止した患者に人工呼吸器を取り付けて、その後自発呼吸がないのに取り外すのは積極的安楽死。はじめから人工呼吸器を取り付けないのは消極的安楽死である。どちらもほぼ同等の行為であるが、認められ方には違いがあるために、良く事前の検討、合意を形成しておく必要性が高い。

東海大学医学部付属病院事件

1991年4月13日に神奈川県伊勢原市の東海大学医学部付属病院の助手が、昏睡状態にある末期の多発性骨髄腫の男性患者(当時58歳)に、塩化カリウム液など心臓停止の副作用がある二種類の薬物を静脈注射し、心不全で死亡させた事件。患者本人の苦しそうな様子を見て、堪えられなくなった家族の要請に応じたというものであった。日本では、これ以前に6件の同種事件判例があるが、どれも近親者が行為者であった。この事件が、医師が関与した初のケースとなった。 他に京都・国保北病院事件、川崎協同病院事件などもある。


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