方言
出典: Jinkawiki
方言とは
日本の国語は日本語である。私たち日本人の大部分は日常生活で日本語を話している。しかし、ひとくちに日本語といってもその内容は地方によって大きく異なる。例えば、青森の人と鹿児島の人が、家族同士で話している言葉を使って会話をしようとしても、互いにほとんど通じないだろう。それどころか、同じ県内であっても、例えば、山形県山形市のことばと山形県鶴岡市の言葉はかなり違うという。山形市と鶴岡市では方言圏が異なるからである。
このように、同一の国語の中で地域差の認められるとき、それぞれの地域で話されている言語を方言(dialect)という。 方言とは地域の言語の総体(体系)である。私たちが英語を学ぶときには、英語の単語だけでなく、発音もアクセントも文法体系も学ばなければならない。同様に、青森方言を話すためには、音声、アクセント、語彙、文法などのすべてに習熟する必要がある。
人はどの地域であっても、日常の多くを方言を用いて生活している。青森の人は青森方言を、東京の人は東京方言を使って話をしている。別の言い方をすれば、私たちが親しい人とくつろいで話をするときに用いる言葉はすべて方言である。方言は人間が言語形成期(五歳~十五歳ころ)に獲得した母語(mother tongue)であり、私たちが最も自然に、かつ流暢に話すことのできる言語である。
一方、同じ地域であっても、年齢や職業などによって、使われる言葉がかなり異なる。このように、同一地域において言葉づかいに年齢差や職業差などが認められるとき、それぞれの階層の用いる言語を社会方言(social dialect)と呼ぶことがある。現代の若者の多くは仲間うちではかなり特色ある言葉づかいをしているが、これは社会方言の一種であり、若者方言と呼ぶことができる。社会方言に対して、地域差に着目した言語の違いは地域方言(local dialect)と呼ばれる。とくに、ことわりなしに方言と言えば、地方方言を指すのがふつうである。
引用:『生きている日本の方言』 佐藤亮一著 新日本出版社