東山文化

出典: Jinkawiki

 室町幕府3代将軍足利義満の時代の文化が、義満の北山山荘(鹿苑寺金閣)を中心にして栄えたので北山文化とよぶのに対して、室町時代の中期、8代将軍足利義政(在位1443~73)の時代に義政が営んだ東山山荘(慈照寺銀閣)を中心にして生み出された文化を、このように呼んでいる。


特徴

   禅宗色、公家色の融合の上に成り立つ東山文化は「わび・さび」「幽玄」を特徴とする深層の美を追求し、その表現は客観的写実性より主観的象徴性が重んじられた。 文学・詩歌・絵画等、諸処の文化活動に新鮮な局面が開かれたのもこの時期である。文学では夢窓疎石門下の絶海中津等の率いる五山文学が応仁の乱を境に衰退しはじめ、一休宗純を中心とした大徳寺派僧侶の活動が活発となる。東山時代には時宗宗徒の同朋衆の活躍も華やかであった。室町文化隆盛には足利将軍に近侍した同朋衆の果たした役割が大きい。同朋衆とは本来、念仏の仲間を意味し、鎌倉時代中期、一遍上人が使った言葉である。教団を持たなかった一遍上人は阿弥陀如来を求める人々は皆同じ「御同朋」であると定義づけて宗徒とした。転じて同好の人々、仲間という意味に使われ、同朋であることで階級差別は取り払われ、身分の上下をクリアすることができた。 室町時代に入ると唐物の美術品の鑑定などを行い、室町諸芸能にも携わり、その多くは時宗の宗徒であった。時衆は自分の名前に「阿弥陀仏」、又は略して「阿弥」を付けることが多く、この時代を代表する「三阿弥」即ち能阿弥、芸阿弥、相阿弥は3代にわたり、義教、義勝、義政に仕えた。室町時代、同朋衆の活躍が目立つようになるのは義満以降、義持、義教、義政の時代である。彼等の多くは「唐物奉行」として将軍家の唐物・唐絵を目利き・保管し、座敷飾りの采配をふるう等の特殊技能を備えていた。自ら絵画作品・連歌作品を残した「三阿弥」や、茶・聞香に秀でた千阿弥、立花の立阿弥が有名である。心敬(しんけい)や宗祇(そうぎ)の提唱による連歌の発展、水墨画の全盛と水墨画に大和絵の画風を加えた狩野派の興隆、茶道・華道における「わび・さび」の追究、禅宗を生活様式に加えた書院造りや枯山水庭園の流行等々、諸芸に義政の同朋衆として阿弥派の活躍が目立つ。 北山時代、主に会所で催された闘茶は、義教・義政の時代に能阿弥により茶の湯となって作法・礼法が整えられた。能阿弥は書院造りの広間での茶器の飾り方、点茶の作法等を定め、その弟子・村田珠光は茶の道を確立した。茶室は四畳半数寄屋造りで、床には墨跡を掲げ、茶器・花は目立たないものとする「わび茶」の道を開いた。

この東山文化は武家社会に浸透すると同時に、有力町人の力を借りて一般の大衆文化として受け入れられた。


銀閣寺

 正式名称は慈照寺という。金閣寺の華やかな北山文化と対照的に、銀閣寺は東山文化の侘、さびの世界を表現している。 1482(文久14年)に足利義政が造営した山荘・東山殿を起源とし、義政の死後、慈照寺に改められた。足利義政が造営した楼閣建築である観音殿を「銀閣」と通称することから、観音殿を含めた寺院全体を「銀閣寺」と言われている。1490年(延徳2年)2月、同年に死去した義政の菩提を弔うため東山殿を寺に改め、相国寺の末寺として創始されたのが慈照寺である。現存する当時の建物は銀閣と東求堂(とうぐどう)のみ。1994年に「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された。 鹿苑寺金閣が文字どおり金箔を貼った建物であるのに対し、銀閣には銀箔 を貼った痕跡はない。 その説として以下の二つが考えられている。 一、銀を貼る予定だったが、幕府の財政事情のため 二、義政の隠居所として設計された観音殿には、元々銀箔を張る計画はなかった。

銀閣寺の庭園には多くの名石、名木が配され、建材にも贅を尽くしていることや、東山文化がわびさびを重んじる文化であり、茶道趣味と禅宗文化を基調にしたものであったことから、銀箔を貼る計画はなかった可能性が高いと考えられている。


*参考文献*

http://www.mtotkms.com/ginnkakuji.html

・「日本の歴史」前澤桃子著 ナツメ社 2001

・東山文化概説 http://www1.odn.ne.jp/~vivace/homepage/Kyoto/rakuto/higashiyama.htm


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