武士道

出典: Jinkawiki

概要

武士道は、新渡戸稲造によって書かれた英文著作である。原著名は「Bushido , the soul of Japan」。1899年に、アメリカのフィラデルフィアで出版され、翌年日本でも刊行された。  新渡戸は、武士階級の道徳的あり方を律してきた武士道を「日本の魂」と捉え、道徳体系としての武士道が説く義・勇・敢為堅忍の精神、仁・礼・誠・名誉・忠義・克己などなどの徳目は、単に武士階級にとどまらず広く人間形成における普遍的規範として西欧におけるキリスト教的な個人倫理に比肩されうるものであると強調している。「武士道」は英語圏国民の間で愛読されただけでなく、ドイツ語版、ポーランド語版をはじめ、7カ国語に翻訳された点で、日本人の著作として稀有なものであった。


「武士道」が書かれた背景

 「武士道」を出版した当時、新渡戸稲造はアメリカのカリフォルニア州で病気治療をしていた。このことが外国から日本を見つめ直す絶好の機会となった。当時の日本は、文明の先進諸国から見れば、いまだアジアの果てのきわめて幼稚な国でしかなかった。ところが、その日本が日清戦争(1894~1895年)で“眠れる獅子”といわれた清国(中国)に勝ったことから、いち早く好奇な目で注目される国になった。なかには「野蛮で好戦的な民族」と中傷するものさえいた。  おそらく、新渡戸の胸中にこうした思いがよぎったことが推測され、「日本人はそのようなものではない」との愛国心に駆られ、外国人に向かって、日本男児の心に宿る伝統的精神を「武士道」の名において書いたといわれている。そのため、わざわざサブタイトルに「日本の魂」と名付けたのである。


参考文献

岬 龍一郎 2003 武士道 PHP研究所

渡邊 靜夫 1988 日本大百科全書20 小学館


  人間科学大事典

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