高速増殖炉 もんじゅ

出典: Jinkawiki

・概要

「もんじゅ」は、敦賀半島北端に位置し、日本海に面しており、福井県敦賀市に属している。県庁のある福井市から南南西約41kmに位置しており、また、敦賀市白木の集落は、南西約1.4kmの位置にある。 「もんじゅ」は、高速中性子によって燃料を増殖する原子炉で、ナトリウムで冷却されている。実際に発電する原型炉で、発電プラントとしての機能や大型化への技術的可能性を確認するために開発された。そのため発電を行うとともに、種々のデータを取得し、高速増殖炉の開発に利用さる。この原子炉の主冷却系は、3つのループで構成されている。熱出力は71.4万KWだが、電気出力は、高い熱効率のため28万KWとなっている。

物質の原子は、中心にある原子核と、その周囲を回る電子で構成されている。原子核はさらに陽子と中性子が結合してできている。ウラン原子の原子核に中性子を衝突させると、原子核が分裂し、同時に大きな熱エネルギーが放出される。これを核分裂という。壊れた原子核から中性子がいくつか飛び出し、それらが別の原子核に衝突してまた核分裂を繰り返す。これを核分裂の連鎖反応という。原子力発電では、原子炉の中で核分裂の連鎖反応を起こし、その時に生じる熱エネルギーを利用して発電する。原子炉でウランを核分裂させると、プルトニウムという物質ができる。プルトニウムは核爆弾の原料になる物質なので、どう処理するかが大きな問題になっている。そこでこのプルトニウムを原子力発電の燃料にリサイクルして使うものが核燃料リサイクルである。

・核燃料リサイクル

まず、使い終わったウランからプルトニウムを取り出し、ウランとプルトニウムをまぜた燃料をつくる(MOX燃料)これを現在使われている「軽水炉」というタイプの原子炉の燃料に使うのがプルサーマルという。しかし、「高速増殖炉」という原子炉を使えば、この燃料をさらに効率よく使うことができる。このタイプの原子炉では燃料を燃やしながら、その一部をさらにプルトニウムに変えて利用できる。ただし、高速増殖炉は取り扱いが非常に難しく、まだ実用化の見通しがついていない。日本には「もんじゅ」という実験用の高速増殖炉があるが、1995年にナトリウム漏れ事故を起こし停止していた。2010年5月、その「もんじゅ」が14年ぶりに再会した。しかし再開からおよそ3ヶ月後、今度は炉内中継装置という装置が原子炉の容器内に落下し、引き抜けなくなるという事故が起きている。

・問題点

1、核暴走の危険がきわめて高い  高速増殖炉では、燃料(プルトニウム)の増殖という目的があり、このため軽水炉より約10倍の高密度で炉心にエネルギーを集中させている。  エネルギーの高い中性子を使って核分裂させるため、炉心のエネルギーがきわめて高く、制御が難しい。ちょっとしたトラブルで核暴走を引き起こす、つまりチェルノブイリ事故と同じような事故になる危険がある。  燃料棒は高温、高燃焼状態で使うため、曲がることが常識になっているが、もし内側に曲がればそれだけで核分裂反応が活発化し、万一、燃料が欠けたり、崩れたりすると、たちまち核暴走事故になる。 2、地震に弱い「もんじゅ」 「もんじゅ」では配管にステンレス鋼を使っているが、それは高温に強い材質を使わなければならないからである。しかしステンレス鋼は熱を伝えにくいうえに、温度が上がるととてもよく伸びてしまう。このため「もんじゅ」では配管が10ミリと薄く(軽水炉では70ミリ)、曲がりくねった構造になっている。したがって地震などの震動にきわめて弱いという性質を持っている。「もんじゅ」の直下には35~40キロメートルの地震断層が走っていると想定され、その地震の規模はマグニチュード7.3が考えられると、裁判のなかで原告側が明らかにしたが、安全審査の段階ではではこの断層およびその危険性について、十分に理解されていなかった。 3、ほとんど増殖しない  政府は資源のない国で運転しながらプルトニウムを増殖する高速増殖炉は必要だと主張する。しかし「もんじゅ」で増殖の目安となるプルトニウムの倍増時間は90年もかかり、増殖炉の役目は果たさない。

出典

高速増殖炉研究開発センター  http://www.jaea.go.jp/04/monju/index.html  

まるわかり時事用語 ニュース・リテラシー研究所 編著


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